G20財務相・中央銀行総裁会合も共同声明が採択されず

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2025年03月03日

G20財務相・中央銀行総裁会合が2月26~27日に南アフリカ共和国のケープタウンで行われたが、前週のG20外相会合(2025年2月26日記事参照)に続き、共同声明は採択されずに終了した。「ビジネス・デイ」紙の報道によると、米国、日本、中国、インド、カナダなどの財務相らが会議を欠席し、G20の結束維持にさらなる懸念が広がる結果となった。

議長を務めたイノック・ゴドングワナ南ア財務相による議長総括は、世界経済見通しについて、進行中の紛争や戦争、地政学的緊張、経済の分断、保護主義の⾼まりなど、さまざまな下振れリスクが指摘されたとし、世界経済に対する既存および新たなリスクに対処し、⾦融の安定を守り、強固で持続可能な投資をさらに促進するために多国間協力を強化することの重要性を強調した。持続可能で均衡のとれた包摂的な成長、雇用創出を推進するためにも、WTOを中核とする、ルールに基づき、差別がなく、公正で、開かれ、包摂的で、公平で持続可能かつ透明な多国間貿易システムへの⽀持を表明し、保護主義に対抗する決意をあらためて表明した。

議長国南アの意思を反映し、途上国が直面する債務問題についても議論されたもようだ。しかし、債務処理に関する共通枠組みの実施が予測可能で、タイムリーで、秩序正しく、協調されたかたちで改善されることを期待し、債務の透明性向上に向けた取り組みを継続するすべての関係者による共同の努力を歓迎し、⺠間債権者にも追随を奨励する、との表記に止まり、先送りされたかたちだ。

閉会後に会見したゴドングワナ財務相は「(非常に活発な議論があったが)意見の相違があったことは認める」と述べた。その上で、G20の結束や米国不在が懸念されていることについては「旗が欠けていたわけではない」として、保護主義に抵抗する決意をあらためて示したことや、G20へのアフリカの声の反映など、幾つかの成果を強調した。

会議の冒頭でスピーチしたシリル・ラマポーザ南ア大統領は、「多国間主義の崩壊は世界の成長と安定に対する脅威」「『協力』が、世界が直面している前例のない課題を克服する唯一の希望」と従来の主張を繰り返した。

(トラスト・ムブントゥガイ、的場真太郎)

(南アフリカ共和国)

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