原産地証明書の発給手続き、全面電子化へ
(ベトナム)
ホーチミン発
2025年07月18日
ベトナム商工省は、原産地証明書(C/O)の発給と、輸出業者による原産地自己証明の承認手続きに関する規定の通達40/2025/TT-BCT(6月22日付)を公布し、同通達は7月1日に施行された。通達による主な変更点として、C/Oの申告や発給手続きで商工省輸出入局のC/O発給管理システム(ECOSYS)の利用を義務付けたことがある。これまでECOSYSを通じてC/Oが発給されていたのは、11の自由貿易協定(FTA)、貿易協定に限られており、C/OフォームA(特恵原産地証明書)や、C/OフォームB(非特恵原産地証明書)などは対象外だった(2024年10月31日記事参照、2025年5月27日記事参照)。
ECOSYSは、商工省の電子商取引・デジタル経済局傘下の電子商取引・デジタル技術開発センター(eComDX)が技術インフラを管理している。「ナショナル・シングルウィンドウ(NSW、注)」にもデータ連携しており、企業の管理効率向上や輸出活動の円滑化に貢献するとされている(「VNエコノミー」7月1日)。
同通達ではまた、C/Oの発給や、政令146/2025/ND-CPの第28条6項に基づく原産地の自己証明が認められる組織に対する承認文書の発行権限が商工省輸出入局および省・市レベルの人民委員会が指定する組織に委譲される。地方当局は新制度に必要な準備を90日間以内に実施する必要がある。
商工省はC/O発給の完全電子化を目指しており、電子印章の使用を含む全プロセスの電子化を進めている〔ベトナム模倣品防止・商標保護協会(VATAP)電子版6月28日〕。
ベトナムと韓国間の自由貿易協定(VKFTA)や、ASEAN・韓国自由貿易協定(AKFTA)、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)のフォームDでは、電子形式の原産地証明書(e-CO)のデータ交換が進んでいる。ATIGAのフォームDは2024年1月1日から、ASEAN9カ国間でASEANシングルウィンドウ(ASW)を通じたe-COのデータ交換が開始された。また、ベトナムのASWを通じたASEAN税関申告書(ACDD)のデータ交換は、試行展開中のラオスを除くASEAN8カ国との間で運用が開始している。
さらに、ベトナム財務省は6月30日付の通達64/2025/TT-BTCで、経済活性化を目的として7月1日から2026年12月31日まで46種類の手数料を減額すると発表した。C/O発給手数料についても、従来の1部6万ドン(約342円、1ドン=約0.0057円)から3万ドンへ引き下げられた。
(注)ベトナム国内の貿易関連手続き(税関を含む)の電子化・窓口の一本化をするシステム。
(新田和葉、ティエン・グエン)
(ベトナム)
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