ベトナムで原産地証明書の電子発給が進む

(ベトナム)

ホーチミン発

2024年10月31日

ベトナムが締結する18の自由貿易協定(FTA)・貿易協定のうち、14の協定で電子形式の原産地証明書(e-CO)の発給もしくはe-COのデータ交換の運用が進んでいる。

ベトナム税関総局は9月19日、ベトナム・チリ自由貿易協定の原産地証明書(C/O)に当たるフォームVCが11月1日から、チリ当局の電子形式の原産地証明書(e-CO)の発給になると発表した。チリ当局によるe-COの発給は9月10日から試験的に実施されており、11月1日以降は従来の専用紙での発給が廃止され、システムを通じたe-COの発給に切り替わる。ベトナム側のフォームVCは、2024年1月1日から、ベトナム商工省輸出入局のC/O発給管理システム(ECOSYS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によりe-COで発給されている。フォームVCのほか、同日からベトナム側でのe-CO発給が発行されているのは次の10協定だ。

  • フォームE〔ASEAN・中国自由貿易地域(ACFTA)〕
  • フォームAI〔ASEAN・インド包括的経済協力枠組み協定(AIFTA)〕
  • フォームAJ〔日本・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)〕
  • フォームAANZ〔ASEAN・オーストラリア・ニュージーランド自由貿易地域(AANZFTA)〕
  • フォームAHK〔ASEAN・香港自由貿易協定(AHKFTA)〕
  • フォームRCEP〔地域的な包括的経済連携(RCEP)協定〕
  • フォームS(ベトナム・ラオス貿易協定)
  • フォームVJ〔日本・ベトナム経済連携協定(JVEPA)〕
  • フォームVN-CU(ベトナム・キューバ貿易協定)
  • フォームCPTPP〔環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)〕

その他のFTAでも、ベトナムと韓国間の韓国・ベトナム自由貿易協定(VKFTA)およびASEAN・韓国自由貿易地域(AKFTA)に基づくe-COは、C/O電子交換システム(EODES)を通じて、両国間でデータ交換する運用を2023年7月1日から開始している。ベトナム税関総局によると、2024年7月上旬時点でEODESシステムから、韓国側は約12万4,000件、ベトナム側は約23万8,000件のe-COを送信した。e-COデータ交換の運用開始から1年が経過した2024年7月10日から12日にかけて開催されたEODESシステムに関する会議で、ベトナム税関総局と韓国税関は、輸出国でのC/O発給時間の短縮、C/Oの発給や仕向け地への郵送などによる企業のコスト削減、輸入国側でのC/Oの真正性確認時間の短縮といったメリットを共有した。

ASEAN物品貿易協定(ATIGA)のフォームDは、2024年1月1日からASEAN9カ国間でASEANシングルウィンドウ(ASW)を通じたe-COのデータ交換を実施している。また、ベトナムのASWを通じたASEAN税関申告書(ACDD)のデータ交換は、技術的な問題でシステムと未接続のラオスを除くASEAN8カ国との間で運用を実施している。

ベトナム商工省の2023年輸出入レポートによると、同年のベトナムのC/Oを利用した輸出額の多い協定は、1位がASEAN・中国自由貿易地域(ACFTA)で175億8,000万ドル(全体の20.9%)、2位がEU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)の153億6,100万ドル(18.3%)、3位がASEAN物品貿易協定(ATIGA)の134億9,200万ドル(16.1%)だった(添付資料表参照)。

(新田和葉、ティエン・グエン)

(ベトナム)

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