インドの乗用車・二輪車販売台数、第1四半期は減少
(インド)
ベンガルール発
2025年07月28日
インド自動車工業会(SIAM)は7月15日、6月と2025年度第1四半期(4~6月)の自動車販売統計(出荷ベース)を発表した。6月単月の乗用車〔多目的車(UV)とバンを含む〕の国内販売台数は前年同月比6.3%減の27万5,766台で、マイナス成長に転じた(添付資料表1、表2参照)。特にこれまで堅調な成長を見せていたUVも同0.9%減となり、一般乗用車、UV、バンの全てのセグメントで減少した。なお、表1の数字には含まれていないが、地場タタ・モーターズを含めると、6月の乗用車販売台数は31万2,849台に上る(注1)。
2025年度第1四半期の乗用車国内販売台数は前年同期比1.4%減の101万1,882台だった。タタを除く自動車販売全体(乗用車、二輪車、三輪車)は、6月単月では前年同月比3.6%減の189万7,445台、第1四半期では前年同期比5.1%減の607万4,874台だった。
SIAMのシャイレシュ・チャンドラ会長は「自動車業界は供給サイドの課題解決に向けて奮起したが、どのセグメントも景況は抑えめだった」とコメントした。同年度第2四半期(7~9月)の見込みについては「祭事シーズンの到来や、平年以上のモンスーンによる降雨量の増加によって、農村地域の収入向上が見込まれることから、緩やかな回復に向かうだろう」と期待を寄せた。
二輪車の6月単月の国内販売台数は前年同月比3.4%減の155万9,851台で、2カ月ぶりにマイナスに転じた(添付資料表1、表3参照)。全セグメントで減少しており、オートバイが同3.7%減の99万2,627台で、100万台に届かず、スクーターが同1.7%減の53万3,875台、モペッドが17.4%減の3万3,349台だった。第1四半期の全セグメント累計でも、前年同期比6.2%減の467万4,562台だった。
第1四半期でインドの自動車業界全体を取り巻く環境は大きく変化した。中国によるレアアースを使用した永久磁石の輸出規制で、サプライチェーンの混乱が生じている。国内の自動車メーカーもさまざまな対応策を講じており、国内で永久磁石製造への参入を示唆した地場自動車メーカーや自動車部品メーカー、主要な電気自動車(EV)モデルの生産計画の減産見直しを行うとされる日系自動車メーカーの動向について、複数の地元メディアが報じている。なお、当該メーカーはレアアース不足による生産活動への影響については、現時点ではないと述べており、複数の解決策を模索しているとの続報があった。さらに、6月23日にはインド道路交通・高速道路省が2026年1月1日以降に製造されるL2カテゴリー(注2)の全ての二輪車について、インド標準規格に準拠したアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)の装備を義務化する規則案を発表した(2025年7月22日記事参照)。コンプライアンスに準拠する車両の販売価格の高騰から生じる消費者の購買への影響も懸念される。
(注1)タタ・モーターズの販売台数は単月の乗用車販売台数のみ公開。自動車販売台数の全体や、セグメント別、メーカー別、車種別、二輪車、三輪車統計には含まれない。
(注2)最高速度が時速45キロ以上で、内燃機関を搭載している場合は排気量が50cc以上の車両、電動モーター搭載の場合は出力が0.5キロワット(kW)以上の車両が含まれる
(大野真奈)
(インド)
ビジネス短信 7bc657e5c8d4c3ba