インド道路交通・高速道路省、二輪車へのABS搭載義務化へ
(インド)
ニューデリー発
2025年07月22日
インド道路交通・高速道路省は6月23日、2026年1月1日以降に製造されるL2カテゴリーの全ての二輪車について、インド標準規格(IS、通称BIS)に準拠したアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)(注)の装備を義務化する改正規則案を発表した。
L2カテゴリーには、最高速度が時速45キロメートル(km/h)以上で、内燃機関を搭載している場合は排気量が50cc以上の車両、電動モーター搭載の場合は出力が0.5キロワット(kW)以上の車両が含まれる。
また、同改正規則案では、二輪車の製造業者は、施行日から3カ月間、購入者に対して、インド標準規格に準拠したヘルメット2つを提供することも義務付けられた。
道路交通・高速道路省は交通事故の低減策の1つとして、ABSの搭載義務化を挙げており、現行の規則では、排気量が125ccまたは出力11kWを超える車両に対してはABS搭載が義務化されていた。インド道路交通・高速道路省によると、2022年の交通事故での死者の44.5%は二輪車の乗員だ。さらに、現地報道によると、インドでは交通事故の44%を二輪車事故が占め、二輪車販売のうち45%は排気量が125cc未満のモデルというデータもあり、今回の規則案は事故防止と安全対策強化を目指したものとみられる(6月24日付「ヒンドゥスタン・タイムズ」)。
2024年度(2024年4月~2025年3月)のインド国内での二輪車の販売台数は、1,960万7,332台(2025年4月23日記事参照)を記録している。現地報道では、本規則案が施行されれば、エントリーモデルの二輪車の販売価格が1台につき、2,500~5,000ルピー(約4,250~8,500円、1ルピー=約1.7円)上昇すると見込まれる、と報じられている(6月20日付エコノミック・タイムズ)。
(注)急ブレーキをかけた際に、車輪の回転運動が完全に停止(ロック)することを防ぎ、車両の操縦性を維持することで、ハンドル操作によって障害物を回避できる可能性を高める安全装置。
(佐藤利昭)
(インド)
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