ジャガー・ランドローバー車、タミル・ナドゥ州で組み立て計画
(インド、英国)
チェンナイ発
2025年07月03日
インドの地場自動車大手タタ・モーターズは、傘下の英国自動車メーカーであるジャガー・ランドローバー(JLR)の車両を、南部タミル・ナドゥ(TN)州ラニペット県の新工場で、2026年初頭からコンプリートノックダウン(CKD)方式(注)による組み立てを開始する計画を示した(「エコノミック・タイムズ」、「ミント」紙6月24日)。新工場はTN州都チェンナイから西へ約120キロに位置し、車両の輸出が盛んなチェンナイ港およびカマラジャ港へのアクセスも良い。
新工場に関して、タタ・モーターズは2024年3月にTN州政府と自動車工場設置に関する覚書(MOU)を締結している(2024年3月25日記事参照)。同MOUでは、5年間で約900億ルピー(約1,530億円、1ルピー=約1.7円)の投資に加え、最大5,000人の雇用を創出する見込みだと発表している。
タタ・モーターズのP・B・バラジ・グループ最高財務責任者(CFO)は「新工場ではまず年間約3万台のレンジローバー・イヴォークと、レンジローバー・ヴェラール(いずれもスポーツ用多目的車)の製造を計画している。その後、タタ・モーターズのプレミアム電気自動車(EV)であるアビニャ(Avinya)を含むEV生産拠点としても活用される予定で、同工場はタタ・モーターズとJLR両社の事業にとって重要拠点となる」と述べている。また、同CFOによると、今後JLRはCKD事業の拠点をインド西部マハーラーシュトラ(MH)州プネの既存工場からTN州ラニペット県の新工場に移転し、規模の拡大と物流面での相乗効果の向上を目指すという(「エコノミック・タイムズ」紙6月24日)。
現在、タタ・モーターズはインド国内に6カ所の製造拠点を有している。7カ所目となる新工場が稼働すれば、将来的に同工場でJLRおよびタタ・モーターズのEVを中心に、年間25万台が生産されるとの報道もある(「オートカー・インディア」誌6月25日)。
今後、TN州での自動車産業がますます盛んになると見込まれる。
(注)部品単位で輸出し、現地で溶接なども行い組み立てる生産方式。
(白川佳奈)
(インド、英国)
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