チリの次期大統領選の世論調査、カスト氏とハラ氏が支持率拮抗
(チリ)
調査部米州課
2025年07月29日
民間調査会社カデムは7月27日、最新の世論調査結果を公表した。それによると、チリの次期大統領選挙に関する設問で、右派の共和党から立候補するホセ・アントニオ・カスト氏の支持率が単独トップとなった。予備選挙終了後にトップの支持率を得ていた共産党のジャネット・ハラ氏(2025年7月8日記事参照)は僅差で2位に後退した。カスト氏よりも中道寄りのエブリン・マテイ氏は3位を維持した(添付資料表参照)。
3人の候補者は7月22日に漁業関連の業界団体が開催した討論会にそろって出席した。そこでカスト氏は、ボリッチ現政権下で長らく労働・社会保障相を務めたハラ氏が労働者寄りの政策の推進に積極的だった点などを引き合いに出し、民間企業の視点から批判を強めた。
ガブリエル・ボリッチ大統領が率いる現政権に対しては、支持率が3割程度、不支持率が6~7割程度という状況が長らく続いている。同政権への不満や、変革を望む世論の受け皿として、カスト氏がその筆頭候補者の地位を築きつつあるようだ。
トップ2人に出遅れたマテイ氏
今回の調査結果では、首位のカスト氏と2位のハラ氏の支持率は拮抗(きっこう)している。しかし、ハラ氏の支持率はカスト氏の場合とは異なり、既に予備選挙で得た中道左派勢力の支持も取り込んだものとなっているため、今後の大きな伸びは期待できないだろうと指摘する国内メディアも存在する。
他方で、3位のマテイ氏と上位2人の差は縮まっておらず、中道以外の勢力が多くの支持を集めるという4年前の大統領選と似通った状況になっている。7月27日付「ラ・テルセラ」には、2024年2月に不慮の事故で死亡したセバスティアン・ピニェラ氏の妻として、大統領夫人を2回経験したセシリア・モレル氏へのインタビューが掲載された。同記事でモレル氏は、民主主義を体現するリーダーシップを兼ね備えた次期大統領として、マテイ氏を支持する自身の見解について語った。また、近年の政治情勢について、対抗勢力への憎しみが増長されることで分極化が進んでいると評し、国の統治のため各勢力間の合意形成が必要だとも述べた。さらに、マテイ氏ではなく、カスト氏とハラ氏が決選投票に進む場合、どちらに投票するか問われた際には、カスト氏への投票を明言した。
(佐藤竣平)
(チリ)
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