米国によるメキシコ産トマトへのAD停止協定離脱に、メキシコ政府・業界団体が反発
(メキシコ、米国)
メキシコ発
2025年07月18日
メキシコ経済省と農業・地方開発省は7月14日、米国政府によるメキシコ産トマトへのアンチダンピング(AD)停止協定からの離脱(2025年7月16日記事参照)に対し、「メキシコの生産者だけでなく、米国の消費者や産業の利益にも反する不当な措置」と、共同リリースで反発した。
両省は、米国でのメキシコ産トマトの市場シェアの高さは、品質に由来するもので、不当な廉売(ダンピング)が理由ではないと主張した。また、2025年4月に米国政府が協定からの離脱を発表して以降、90日間にわたってメキシコ側から建設的な提案を行ってきたものの、米国政府が政治的理由から提案を受け入れなかったとした。その上で、17.09%のAD税賦課の影響で、最終的に米国の消費者がコストアップの負担を強いられるだろうと警告した。
クラウディア・シェインバウム大統領は7月15日の記者会見で、経済開発計画「プラン・メキシコ」の一環として、トマト生産者団体と連携した行動計画を来週に発表予定と述べ、国内生産者を支援する姿勢を表明した。
業界団体の1つの全国農牧業評議会(CNA)は「今回の措置は北米地域統合の後退を意味し、北米の食料安全保障を脅かすものだ。国内生産者、生産チェーンを構成する人々、米国の消費者は多大な影響を受けるだろう」と、深刻な懸念を表明するリリースを発出した。
トマトの主要生産地を含む複数の業界団体(注)も共同リリースを出し、「米国で消費されるトマトの3分の2がメキシコ産だ」「短期、中期的にメキシコ産トマトを代替できる国は存在しない」として、米国市場でのメキシコ産トマトの重要性を強調した。
グローバル・トレード・アトラス(GTA)によると、2024年のメキシコ産トマトの総輸出量202万トンのうち、米国向けは99.83%を占めた。また、同年の米国のトマト輸入量に占めるメキシコ産比率は90.07%だった。
(注)メキシコ保護園芸協会(AMHPAC)、シナロア州農業協会連合会(CIDH-CAADES)、バハカリフォルニア州農業評議会(CABC)、システム・プロダクト・トマト(SPT)、ヤキ・マヨ野菜生産者協会(APHYM)の5団体。
(深澤竜太)
(メキシコ、米国)
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