ジェトロ、中国水素産業に関するウェビナー開催
(中国)
広州発
2025年07月25日
ジェトロは7月16日、中国の水素産業をテーマとしたウェビナーを開催した。日系企業による中国の水素関連事業でビジネスアドバイザーを務めるINTEGRAL NEW ENERGYの中西豪代表取締役が講師として登壇し、中国、華南地域の水素産業と関連政策の動向などについて解説し、189人が視聴した。
中西氏によると、2024年の中国の燃料電池車(FCV)累計販売台数は2万8,058台で、建設済みの水素燃料補給ステーション(HRS)540基のうち、392基が稼働しているという。中国ではFCVの実証実験と利活用を推進するために、広東省を含む5大モデル都市群が選定されており(注)、主に商用車分野で水素利活用を進めてきた。特にFCVは、エネルギー密度が高く、長距離輸送に適していることから、大型トラックが主な応用対象となっている。同モデル都市群の実証支援策として実施されている中央政府による補助金措置の概要についても解説した。
また、中国の産業需要向けのグリーン水素開発では、再生可能エネルギーが豊富な華北、東北、西北地域に集中していると指摘した。
このほか、広東省のFCVの産業・政策動向についても紹介した。広東省は2021年9月に同モデル都市群に選定され、2022年8月には「FCV普及のモデル都市群の建設を促進するための行動規画」を発表した。2025年までに燃料電池自動車の普及台数を1万台以上、年間水素エネルギー生産量を10万トン超、水素ステーションの増設を200カ所超などの目標を掲げて取り組みを進めてきた。また、同規画の中で、広州市、深セン市、仏山市を燃料電池技術革新の重点開発地域に、東莞市、中山市、雲浮市を材料・技術・設備の重点研究開発・製造基地に、東莞市、珠海市、陽江市を水素供給基地に指定し、省内の産業都市群の形成を進めてきた。中西氏によると、広東省はMEA(膜電極組)、触媒、カーボンペーパー、PEM(プロトン交換膜)など、燃料電池の中核を成す各分野で有力企業の進出もみられ、基幹部品の生産ラインが現地で建設されていることから、大規模商業化に向けて有利な環境となっていると指摘した。
ウェビナーの様子(ジェトロ撮影)
(注)2021年の8月に北京市、上海市、9月に広東省、12月に河北省、河南省が周辺地域を含めた5大モデル都市群として選定された(2022年4月25日記事参照)このほか、現地メディアなどによると、遼寧省大連市、山西省呂梁市、河南省濮陽市、新疆ウイグル自治区哈密市などもモデル都市群に加入し、FCVの利用拡大を図っている(2025年4月11日記事参照)。
(西村京子、陳昕)
(中国)
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