スビリデンコ政権、省統合で政府機能を合理化

(ウクライナ)

調査部欧州課

2025年07月31日

ウクライナ閣僚会議(内閣)は7月21日、経済省、国防省、社会政策省の機能拡大と、それに伴い関係する省の廃止に関する決定を行った。7月17日に就任したユリア・スビリデンコ首相(2025年7月22日記事参照)は、同日行われた最初の閣僚会議で、新内閣は閣僚数の観点で史上最小規模であり、政府機能の合理化に取り組んでいる明確なシグナルであると述べた。

経済省は農業政策・食料省、環境保護・天然資源省と統合され、経済・環境・農業省に改称された。経済・環境・農業省は、ボロディミル・ゼレンスキー大統領によって課された「ウクライナの経済的潜在力の強化」という戦略的タスクに活動の焦点を当てる。農業政策・食料省と環境保護・天然資源省の既存の政策に、経済省が担っていた投資計画や支援資金、リスク管理枠組みを活用し、相乗効果を発揮して国の発展のための制度的基盤を構築する。

同省の大臣には、7月17日の内閣改造で、オレクシー・ソボレフ氏(前経済省第1次官)が着任した。ソボレフ氏は自身のSNSで7月29日、経済・農業・環境省の体制について、4人の次官が留任し、農業政策・食料省、環境保護・天然資源省、社会政策省から4人の次官が新たに加わったと投稿した。

戦略産業省は国防省に統合された。両省の統合により、防衛産業への投資誘致や、共同兵器製造などにおけるパートナー国・機関との協力など、戦略産業省の機能を国防省に組み込み、機能の強化を目指す。

ゼレンスキー大統領は17日の内閣改造後の最高会議での演説で、防衛分野と兵器製造の管理体制を改革し、6カ月以内に兵器の国産率を40%から50%に拡大させると表明していた。国防相に任命されたデニス・シュミハリ氏(前首相)は同日の就任演説で、3つの優先課題(a.兵士への高品質な物資の十分な供給、b.兵器の国内製造能力の増強、c.組織の体系的な効率化、迅速な意思決定)を挙げた。

社会政策省は国家統一省と統合され、社会政策・家族・統一省に改称された。国家統一省が所管していた国民統一、国民のアイデンティティの創出、在外国民の権利の保障と帰還のための条件整備などの機能が統合された。大臣には、前財務省第1次官のデニス・ウリューチン氏が任命された。

(柴田紗英)

(ウクライナ)

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