ダイキン工業、ナイジェリアでSDGsビジネス化実証調査を実施

(ナイジェリア)

ラゴス発

2025年07月29日

空調機器大手のダイキン工業は7月17日、ナイジェリアのラゴスで、国際協力機構(JICA)事業による「ナイジェリア国低GWP(地球温暖化係数)冷媒R32を活用した高効率インバータエアコンの普及にかかるビジネス化実証調査」(注)の発表会を行った。ラゴスでの開催に先立って、7月15日には首都アブジャでも会議を開催している。ダイキン工業では、R32の冷媒をエアコンに使うことで、温室効果ガス(GHG)排出量削減を進めるほか、今回は特にインバータ技術によるエネルギー効率の改善を目に見えるかたちで示すための実証実験をナイジェリアで行い、その検証結果を発表した。

同国では、現在稼働している電力は5,000メガワット(MW)程度とされており、電力不足が懸念される一方、人口の45%がナショナルグリッド電力を利用できていないため、エネルギー効率の改善を通じた無駄の削減は重要な課題となっている。そのため、インバータがどの程度、エアコンのエネルギー削減に効果があるのか、電力省やナイジェリア標準化機構(SON)などナイジェリア政府や政府機関、民間企業との認識共有を図る機会となった。

今回の実証実験(2024年9月から2025年5月)では、ラゴスの研究機関や職業訓練校の一室で同じ条件で設置した非インバータのエアコンと、インバータエアコンの稼働電力を比較したところ、インバータエアコンのエネルギー消費量で40~48%の削減が確認された。

SONからは、ナイジェリア最低エネルギー性能基準(MEPS)を紹介し、新しい「NIS943:2024」の基準について説明した。同国やアフリカでも省エネ基準の規格整備が進められていることが示された。

ダイキン工業の岩澤佳奈氏はジェトロのインタビューに、「エアコン需要の伸びが期待されるナイジェリアでも、適切な省エネ政策の導入を支援することで、当社が強みとするインバータエアコンを拡販し、環境・社会に貢献していきたい」と、今後への抱負を語った。

写真 実証調査の発表会(ジェトロ撮影)

実証調査の発表会(ジェトロ撮影)

(注)R32は、オゾン破壊係数(ODP)がゼロで、オゾン層を破壊しない冷媒とされ、モントリオール議定書(オゾン層保護)の要件を満たす。また、その地球温暖化係数(GWP)は、従来主流だったR410と比べると約3分の1で、温暖化の影響が小さい冷媒(2024年4月16日記事参照)。

(奥貴史)

(ナイジェリア)

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