ダイキンが環境負荷の低い空調機器の製造ラインを稼働

(ナイジェリア)

ラゴス発

2024年04月16日

空調機器大手のダイキン工業の組立製造を手掛けるサクラル・インダストリーズは4月4日、ナイジェリアのラゴス市内で環境負荷の低い空調機器の組立製造ラインの稼働記念式典を開催した。式典には、連邦政府環境省やラゴス州政府、ダイキンの現地法人、日本大使館、国連工業開発機関(UNIDO)、ナイジェリア製造業協会(MAN)の関係者らが出席した。

サクラル・インダストリーズは「モントリオール議定書実施のための多国間基金(MLF)」(注1)から資金供与を受け、オゾン層を破壊するフロンガスの段階的な廃止を目指している。この製造ラインの導入は、ナイジェリア政府がUNIDOを実施パートナーとする気候変動対策活動の一環として紹介された。ナイジェリアは1989年に、オゾン層を破壊する物質の削減を目的とした「モントリオール議定書」の締約国となり、2013年から段階的廃止管理計画(HPMP)を実行中だ。2010年の基準値344.9トンのハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)(注2)を2040年までに完全に削減することを掲げている。現在、実施計画の第3段階にあり、空調機器の組立製造ラインにおいて、オゾン層破壊物質の使用から、環境負荷の少ない代替品への転換を図っている。

同式典に出席したイシャク・サラコ連邦環境相は、本取り組みはボラ・ティヌブ政権が気候変動や生物多様性の損失、環境汚染といった地球規模の課題の解決に全面的に取り組む姿勢を体現していると評価した。そのうえで、環境に配慮された空調機器が国内で幅広く利用可能になるとともに、完成品の輸出を通じた外貨獲得や国内生産による外貨節約、国内企業の製造能力の向上、雇用創出への貢献に期待を表明した。

また、UNIDOとジェトロは4月8日、ダイキンの販売代理店や小売業者に対する研修プログラムを提供する職業訓練校のエティワ・テックを訪問した。同校は2022年9月からダイキンと連携し、アフリカ初の職業訓練校との連携によるトレーニングセンターとして、据え付けやメンテナンス方法などの技術研修を提供している(2022年9月28日記事参照)。

写真 左からサクラル社 マネージングディレクター ギルガーニ氏、松永大使、サラコ環境相、UNDP ゾウ事務局長代理(ジェトロ撮影)

左からサクラル社 マネージングディレクター ギルガーニ氏、松永大使、サラコ環境相、UNDP ゾウ事務局長代理(ジェトロ撮影)

写真 組立工場を視察するサラコ環境相(写真中央)(ジェトロ撮影)

組立工場を視察するサラコ環境相(写真中央)(ジェトロ撮影)

写真 冷媒ガスの充填エリア(ジェトロ撮影)

冷媒ガスの充填エリア(ジェトロ撮影)

(注1)「モントリオール議定書実施のための多国間基金」は、1993年に正式に発足した基金で、新興国がオゾン層を保護するための技術や製品への移行をサポートする資金を提供する役割を担う。日本政府も本基金へ資金を拠出している。

(注2)ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)は、化学物質の一種で、エアコンなどの冷却装置の冷媒として使用される。以前に広く利用されていたクロロフルオロカーボン(CFC)と同様、オゾン層を破壊し、地球温暖化に与える影響が大きく、ノンフロンや温室効果の低い物質に変えていくことが重要。

(柴田北斗、フォラシャデ・オデボデ)

(ナイジェリア)

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