AMROのASEAN+3経済予測、3つのシナリオ発表
(シンガポール、中国、香港、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、日本)
シンガポール発
2025年04月16日
シンガポールにある国際機関「ASEAN+3マクロ経済調査事務局(AMRO)」は4月15日、ASEAN+3(中国・香港、日本、韓国)の実質GDP成長率(経済成長率)の予測を発表した。プレスカンファレンスで披露したプレゼンテーション資料では、(1)世界共通関税と相互関税を課す米国大統領が発表される前に作成したシナリオ、(2)「解放の日」シナリオ(米国のドナルド・トランプ大統領が4月2日に発表した内容を反映)、(3)「一時停止」シナリオ〔トランプ氏が4月9日に発表した内容(中国を除く多数の国に対して、相互関税の適用を90日間停止し、ベースライン関税の10%を適用。一方で、中国に対しては相互関税率を100%超に引き上げ)を反映〕の3つのシナリオを披露した(注1)。
4月2日より前に作成した予測では、ASEAN+3地域全体の経済成長率を2025年は前年比4.2%、2026年は同4.1%としていた。「解放の日」シナリオでは、2025年は同3.8%、2026年は同3.4%に減速し、「一時停止」シナリオでは、2025年は同3.3%、2026年は同2.4%にさらに低下するとの予測だ(注2)。
AMROはプレスリリースの中で「米国政府が市場の反応や貿易相手による対抗措置に応じて関税措置を継続的に調整しているため、これらの予測は大きな不確実性の影響を受ける」と指摘している。「貿易ショックがASEAN+3に重くのしかかる」とした一方で、(1)内需と域内貿易が成長の主要な推進力となり、以前と比較してバランスが取れていること、(2)より多様化した輸出市場に支えられていること、(3)ASEAN+3の多くの国・地域が短期的なショックを緩和するための十分な政策余地を有していることを挙げ、ASEAN+3地域が相対的な強さと強靭(きょうじん)性を備えている、と評価した(AMROプレスリリース)。
(注1)プレゼンテーション資料はAMROウェブサイトで閲覧可能。
(注2)「解放の日」「一時停止」シナリオのいずれも、関税の負の影響に対する政策対応の影響を考慮していない。
(朝倉啓介)
(シンガポール、中国、香港、韓国、ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、日本)
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