2025年第2四半期の中小企業発展指数は前期比0.4ポイント下落、需要不足や過当競争に直面

(中国)

調査部中国北アジア課

2025年07月28日

経済団体の中国中小企業協会は7月10日、2025年第2四半期(4~6月)の中小企業発展指数(SMEDI)が89.1だったと発表した(添付資料図参照)。前期(第1四半期)から0.4ポイント下落した。SMEDIは、主要8業種の中小企業(注1)3,000社に対する調査結果を数値化したもの。下限が0、上限が200で、100を超えると好況、下回ると不況と見なされる。足元の推移をみると、2024年第3四半期には88.9まで低下し、その後は2024年第4四半期、2025年第1四半期と2四半期連続で上昇したが(注2)、再び下落に転じた。

業種別にみると、主要8業種の全てで景気判断の境目となる100ポイントを下回った。卸売・小売業は89.0と第1四半期から横ばいとなったものの、その他の7業種ではいずれも下落した。交通運輸業(84.4、0.7ポイント下落)、社会サービス業(89.8、0.7ポイント下落)などで下落幅が大きかった。

指数の項目分類ごとにみると、主要8項目のうち5項目で100を下回ったほか、100を超えると不況を示す「コスト指数(注3)」(111.8)は100を上回った。企業の収益を示す「収益指数」(74.2)は8項目のうち最も低い数値を示したほか、企業家のマクロ経済への見方を示す「マクロ経済指数」(98.2)は前期から0.8ポイント低下し、8項目のうち下落幅が最も大きかった。受注や生産、販売、在庫状況などを反映した「市場指数」は81.2(0.3ポイント低下)となった。

中国中小企業協会は、「第2四半期に入り、外部環境がより複雑化し関税政策の変化が激しかったほか(注4)、内需の成長鈍化も見られ、消費の拡大には閉塞感が残る」としたうえで、「中小企業は需要不足や過当競争(中国語で「内巻」)、収益の圧迫などの課題に直面している」と分析している。

(注1)本調査では、「工業」「建築業」「交通運輸・郵便倉庫業」「不動産業」「卸売・小売業」「社会サービス業」「情報伝達・コンピュータサービス・ソフトウエア業」「宿泊・飲食業」の産業を対象に調査を実施している。

(注2)2025年第1四半期の指数は89.5ポイント(前四半期比0.5ポイント増)だった。中小企業協会は、春節の大型連休に伴う消費の振興や、各地で展開された経済政策を受け、中小企業の景気指数の大幅な上昇につながったと指摘している。

(注3)原材料コストや人件費などの状況を反映した指数。他の指数とは反対に、100を超えると不況、100を下回ると好況とみなされる。

(注4)SMEDIを単月ベースでみると、米中双方が追加関税を課すと発表した2025年4月は89.2ポイントで、前月比0.3ポイント下落した。その後、4月30日に民営経済促進法が施行されたこと(2025年5月7日記事参照)、5月には米中間で双方が課していた関税措置の部分的緩和に合意したことなどを受け、5月のSMEDIは89.5ポイントと前月比で0.3ポイント上昇した。

(廣田瑞生)

(中国)

ビジネス短信 654daf65c5c9c370