三菱商事とENEOS、米ハワイでの再生可能燃料生産事業に参画を発表

(米国、日本)

ロサンゼルス発

2025年07月28日

再生可能燃料や石油精製製品を供給するパー・パシフィック(本社:テキサス州ヒューストン)と、三菱商事、ENEOSは7月22日、パー・パシフィックが米国ハワイ州に保有する製油所で、再生可能燃料を生産する合弁会社ハワイ・リニューアブルズを設立する正式契約を締結したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。まず、三菱商事とENEOSがアロヒ・リニューアブル・エナジーを設立し、同社が1億ドルの現金と引き換えに、ハワイ・リニューアブルズの株式36.5%を取得する。パー・パシフィックは残りの株式を保有し、関連会社パー・ハワイ・リファイニングを通じて、プロジェクトの遂行・運営を主導する予定だ。

再生可能燃料の生産にはパー・パシフィックの既存の精製インフラ・物流機能を活用する予定だが、改修工事を2025年末までに完了させた上で、稼働を開始する見込みだ。完全稼働後、ハワイ・リニューアブルズは州内最大の再生可能燃料製造施設となり、年間約6,100万ガロン(約2億3,089万リットル)の再生可能ディーゼル(RD)、持続可能な航空燃料(SAF)、再生可能ナフサ、低炭素液化石油ガス(LPG)を生産する予定となっている。

同施設はハワイで航空・旅行市場の脱炭素化に向けた重要な第一歩として、最大60%のSAFを生産するように設計しており、市場状況に応じて柔軟に各再生可能燃料の製造割合の調整を行うことができる。これらの再生可能燃料によって、ハワイの消費者に信頼性の高い燃料が運輸、ライフラインで提供されることで、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に貢献するとしている。

なお、現在、米国環境保護庁(EPA)から再生可能燃料混合基準制度(RFS、注)の2026~2027年の混合基準量案が公表されている。この基準案が最終規則化された場合、RFS導入以来もっとも高い基準値となる予定で、パー・パシフィックで生産を予定するRDや再生可能ナフサも、RFSで混合を義務付ける燃料に含まれる(2025年6月24日記事参照)。また、7月4日に成立した「大きく美しい1つの法案(OBBBA)」では、インフレ削減法(IRA)の下で定められたクリーン燃料生産クレジット〔内国歳入法(IRC)45Z〕の適用期限を2年間延長する項目が盛り込まれ、どちらも再生可能燃料の生産にとって追い風となることが期待される。

(注)大気浄化法に基づいて2006年に導入されたRFSでは、製油業者や輸入業者に対し、ガソリンまたはディーゼル燃料に、エタノールなどバイオ燃料を再生可能燃料使用義務量(RVO)として一定量混合することを義務付けている。製油業者や輸入業者は自身に割り当てられたRVOを達成するか、達成できない場合などは再生可能識別番号(RIN)と呼ばれる市場で取引可能なクレジットの購入を求められる。

(堀永卓弘、クリストファー・ベイカー) 

(米国、日本)

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