米環境保護庁、2026~2027年の再生可能燃料混合基準案を公表、米国以外で生産のクレジットを50%削減
(米国)
調査部米州課
2025年06月24日
米国環境保護庁(EPA)は6月13日、再生可能燃料混合基準制度(RFS)について、2026~2027年の混合基準量案を公表した。
大気浄化法に基づいて2006年に導入されたRFSでは、製油業者および輸入業者に対し、ガソリンまたはディーゼル燃料に、エタノールなどバイオ燃料を再生可能燃料使用義務量(RVO)として一定量混合することを義務付けている。製油業者および輸入業者は自身に割り当てられたRVOを達成するか、達成できない場合などは再生可能識別番号(RIN)と呼ばれる市場で取引可能なクレジットの購入を求められる。
EPAは、今回設定した基準量案を米国のエネルギー保障の強化と農家の支援に向けた主要な一歩とし、次の3つの提案を行っている。
- 主要な再生可能燃料の強力な成長目標を設定する。
- 外国産の再生可能燃料と原料の価値を削減し、米国の再生可能燃料を第1とする。
- RFSに適用される再生可能燃料から電力を除外し、電気自動車(EV)購入の義務化廃止目標を促進する(2025年1月22日記事参照)。
1.では、バイオ燃料の混合総量として2026年は240億2,000万ガロン(1ガロン=約3.8リットル)、2027年は244億6,000万ガロンを設定している。本基準案が最終規則化された場合、RFS導入以来もっとも高い基準値となる予定だ。2.では、米国以外で生産されたバイオ燃料やその原料から生成されるRINを、米国産のバイオ燃料やその原料から生成されるRINの価値の50%とするようRFSの修正を提案している。これにより、2026年および2027年には1日あたりの外国産石油への依存量の約15万バレルの削減を見込む。3.では、EVがバイオ燃料由来の電力を使って充電されることで、自動車メーカーがeRINと呼ばれるクレジットを生成できる制度を、RFSから除外するとした。実際にEPAは、電力を用いたRINの生成を許可したことはこれまで一度もなかった。
同案の発表に際し、EPAのリー・ゼルディン長官は「われわれは、ガソリン価格への影響を緩和し液体燃料の存続を確保しつつ、米国の農家に利益をもたらす新しいシステムを構築する。米国人が外国の競合相手のために支払いを続ける余裕はもはやない」とし、同案が米国産バイオ燃料の利用拡大や米国産エネルギーの解放、農村経済の支援というトランプ政権の政策に忠実なものだと述べた。また、EPAは同案に対して、共和党の議員や農業団体を中心に歓迎の声が上がっているとしている。
なお同案については、オンラインのパブリックヒアリングを2025年7月8日および9日に開催する予定で、出席希望者は7月1日までに事前登録を行う必要がある(詳細は開催通知参照)。
(小谷田浩希)
(米国)
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