ジェトロ、ベトナムのベビー用品チェーン最大手コンクンを日本に招聘、日本製品の流通拡大に期待

(ベトナム、日本)

ホーチミン発

2025年07月30日

ジェトロは7月7~11日、ベトナム最大手のベビー・マム用品チェーン「コンクン(Con Cung)」を日本に招聘(しょうへい)し、ベビー用品分野のサプライヤーとの商談やベビー用品チェーンの店舗視察を実施した。

コンクンはベトナム国内で882店舗(7月24日時点)を運営する。日本の大手メーカーの粉ミルクなどの食品や、おむつなどを多数取り扱うほか、日本の大手おむつメーカーによる独自ブランドの製品なども販売している(注1)。

コンクンの担当者は「日本製品は安全性や品質、利便性の高さから、ベトナム全土で高く評価されている。多くのベトナムの子育て世代が日本の育児方法を参考にしており、母子向けの食品や育児用品は国内で非常に人気が高い」と話している。日本での商談や店舗視察を通じ、同社担当者は、日本のベビーストアで販売されている赤ちゃんへの栄養を考えた子供向けさけフレークや、対象年齢が記載された赤ちゃん向けベビースナックなどに関心を示した。また、食品以外では、ベトナム市場でまだ一般的ではない赤ちゃんにも使える虫よけスプレーや、接触冷感機能を持つ商品などにも注目していた。

育児関連商品の需要高まるベトナム市場

ベトナムは2023年に人口が1億人を突破し、2024年の小売り・サービス売上高(推計値)は前年比9.0%増と高い成長を続けている。また、ユーロモニターによると、ベトナムのベビー食品分野の小売売上高は2024年で34兆1,000億ドン(約1,944億円、1ドン=約0.0057円)で、2025~2029年の年間平均成長率は5%との予測だ。消費者の健康意識の高まりが売上高を押し上げており、栄養価を重視する傾向から、1商品当たりの購入価格は、2029年には2024年比で5.9%上昇すると予測している。消費力の向上とともに、育児関連商品の需要が急速に拡大していることがわかる。

ジェトロでは、2024年にコンクンと、ベトナム国内最大シェアの電子決済アプリ「モモ(MoMo)」を活用して、コンクンが販売する日本の輸入商品のO2O(Online to Offline、注2)プロモーションを実施するなど、提携を模索してきた(2024年2月9日記事参照)。今回の招聘を通じて、今後新たなベビー・マム向け商品など日本製品のベトナム市場への販路拡大が期待される。

(注1)王子ネピアがTakatoブランドでOEM製品を展開している(コンクンウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)ほか、「Genki!」「White」などのブランドでも展開している。2024年に同社のおむつ事業はアイリスオーヤマが生産設備を一部取得し、「Genki!」ブランドのライセンス契約を締結(アイリスオーヤマのプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2024年8月には森永乳業がコンクンとの協力10周年式典を開くなど、日本企業との協業もみられる(2024年8月21日記事参照)。

(注2)オンライン(ウェブサイトやアプリ)からオフライン(実店舗など)での購買行動に結びつけるマーケティング手法などを指す。

(村瀬拓哉、キム・フオン)

(ベトナム、日本)

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