プーチン大統領、BRICS首脳会合でロシア提案の決済プラットフォームや穀物取引所の創設をあらためて主張

(ロシア、ブラジル)

調査部欧州課

2025年07月22日

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は7月6日、ブラジルのリオデジャネイロ市で開催された第17回BRICS首脳会合(2025年7月8日記事参照)にオンラインで出席し、全体会合で演説した。プーチン大統領は、スピーチの中でBRICS独自の制度の必要性を訴えた。特にロシアが提案している、BRICS加盟国間でのドルやユーロから独立した決済・預託システムの創設によって、通貨取引がより効率的で、迅速かつ安全なものになると強調した。首脳会合で取りまとめられたリオデジャネイロ宣言において、各国の財務相や中央銀行総裁がBRICS内のクロスボーダー決済のシステムに関する議論を継続することが盛り込まれた。

プーチン大統領は、各国にとって自国通貨の使用を拡大することが重要だとも指摘した。2024年のロシアとBRICS諸国との貿易決済に占めるロシアの通貨ルーブルおよび中国をはじめとする「友好国」の通貨の割合が90%に達したと述べた。なお、BRICS諸国は、貿易決済における自国通貨への移行について議論があるものの、現時点でBRICS共通通貨の導入について本格的に検討していない(「サンクトペテルブルク・ベドモスチ」5月5日)。

ロシアが前回のBRICS首脳会合で創設を提唱した新たな投資プラットフォーム(2024年11月5日記事参照)については、先述の決済・預託システムの議論よりも積極的に受け入れられており、2025年6月の中国の習近平国家主席とプーチン大統領との電話会談でも議論された。

プーチン大統領は、過去にロシアがBRICS諸国に提唱してきた穀物取引所の設立に関する構想も前進しつつあると述べた。取引所ができれば、ロシアにとってメリットがある。金融市場関係者の団体であるACIロシアのクリスティーナ・バコニナ副会長によると、ロシアの輸出業者が市場価格で穀物を販売できるようになり、高いコストを払って西側諸国のトレーダーを介することなく、BRICS諸国やグローバル・サウスの買い手と直接取引できるようになる(「イズベスチヤ」6月5日)。

プーチン大統領が対面出席を拒否した理由について、ユーリー・ウシャコフ大統領補佐官は、国際刑事裁判所(ICC)の要件に関連する困難があるためと説明している(「ベドモスチ」6月25日)。

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