ブルガリア、ユーロ導入に向けて移行準備本格化
(ブルガリア、EU、ユーロ圏)
ブカレスト発
2025年07月22日
ブルガリアはEU加盟から約18年半を経て、7月8日にEU共通通貨ユーロの導入が承認された。2026年1月1日からユーロ圏21番目の加盟国として、公式通貨をユーロに切り替える(2025年7月11日記事参照)。
ユーロ導入は、法制度、行政、金融政策、財政規律など多岐にわたる改革を要する長期的なプロセスだった。8日に欧州議会は賛成多数(賛成531票、反対69票、棄権79票)で欧州委員会の報告書を採択し、ブルガリアがユーロ導入に必要な全ての条件〔インフレ率(今回の評価時点での基準値は2.8%以下)、GDP3%未満の財政赤字など〕を満たしていることを確認した。その後、同日中にEU理事会(閣僚理事会)で立法手続きを通して承認し、EU加盟国の財務相会合でも即座に承認された。
ブルガリアの現行通貨レフは、1999年からユーロ導入の前提条件となる欧州為替相場メカニズム(ERM II)の下、ユーロに対し固定レート(1ユーロ=1.95583レフ)が適用されており、ユーロへの移行時にもそのまま適用される。全ての銀行口座や金融商品はユーロ導入日から自動的にユーロに換算され、現金は6カ月間、金融機関で無料交換することができ、その後はブルガリア国立銀行で無期限に交換可能となる。
ユーロ導入に対する国民の意見は依然として割れており、最新の世論調査では、賛成46.5%、反対46.8%と、拮抗(きっこう)する結果が示された(「ラジオ・フリー・ヨーロッパ」7月8日)。一方、ブルガリア政府は、ユーロ導入による国民の所得向上や購買力の強化を目指し、インフレ対策を十分に行うことを強調し、段階的な制度整備と国民への広報を通じて、円滑なユーロへの移行を目指すとしている(国営通信社「BTA」7月8日)。
(ウラジミル・カネフ、本吉美友)
(ブルガリア、EU、ユーロ圏)
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