バングラデシュ、2026年11月のLDC卒業に向け経済連携協定の交渉進む

(バングラデシュ、日本、シンガポール、韓国、マレーシア、アラブ首長国連邦)

ダッカ発

2025年07月07日

バングラデシュは、2021年11月の国連総会決議に基づき、2026年11月に後発開発途上国(LDC)のステータスから卒業予定となっている(2021年12月6日記事参照)。これにより、LDCであれば対象となる特別特恵関税(原則無税)がバングラデシュの輸出品目に適用されなくなるため、同国は他国と経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)の締結に向け交渉を加速させている。

交渉は、第6回会合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが2025年6月21~26日にハイブリッド形式で開催されるなど、日本との間で早くから進んでいる。日本の外務省は、物品貿易、原産地規則、税関手続き、貿易円滑化などの各分野で活発な議論を行ったとしている。

また、バングラデシュとシンガポールは4月14日に実施した第4回外務次官級協議の中で、2026年までのFTA締結を目指すことに合意し、税関相互支援協定、二重課税の回避の租税条約を改正する議定書、刑事共助条約、観光分野の協力に係る覚書にも取り組むことで一致している。

韓国もバングラデシュとのEPA早期締結に意欲的だ。マハブブール・ラフマン商業次官は6月1日、在バングラデシュ韓国大使館と外国投資家商工会議所(FICCI)の共催セミナーに登壇し、両国のEPA交渉第1回会合が7月下旬に開催される予定で、妥結までに6~7回の会合を重ねる可能性があると述べた(「インダストリー・インサイダー」2025年6月2日)。また、パク・ヨンシク駐バングラデシュ韓国大使は、同セミナーの基調講演で「バングラデシュは世界第35位の経済規模を誇り、2030年までに第9位の消費市場になると予測されている」として、今後の成長に期待を寄せた。

さらに、タイは2025年中のFTA交渉開始を目指しており(2025年5月22日記事参照)、マレーシアはアンワル・イブラヒム首相が2024年10月にバングラデシュを訪問した際に、暫定政権のムハンマド・ユヌス首席顧問との間でFTAに関する協議を早期に実施することで一致している(「ビジネス・スタンダード」紙2024年10月5日)。アラブ首長国連邦(UAE)も、包括的経済連携協定(CEPA)交渉第1回会合を近く開催する、との報道もある(「フィナンシャル・エクスプレス」紙2025年4月22日)。

バングラデシュは、相互関税の上乗せ部分の一時停止期限が2025年7月9日に切れることをめぐり米国と交渉の最中だが、関税にかかわる動きは今後も続きそうだ。

(片岡一生)

(バングラデシュ、日本、シンガポール、韓国、マレーシア、アラブ首長国連邦)

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