イスラエルがダマスカス空爆、シリアは軍事作戦の「完全かつ即時停止」宣言

(イスラエル、シリア、米国)

テルアビブ発

2025年07月17日

イスラエル国防軍(IDF)は7月16日、シリアの首都ダマスカスにあるシリア軍司令部や大統領府周辺の軍事施設に対して空爆を実施したと発表した。IDFは「シリア南部における情勢および(シリア政権による)ドルーズ市民への行動を継続的に監視しており、必要に応じて軍事行動を行っている」と述べた。

「アルジャジーラ」(7月16日付)によると、7月11日にシリア南部のスワイダーで発生したドルーズ系商人の誘拐事件を発端に、イスラム教ドルーズ派とスンニ派のベドウィン、さらにはシリア政府軍との間で戦闘が拡大したという。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とイスラエル・カッツ国防相は7月15日、シリア政権軍がスワイダーにおいてドルーズ派住民に対する攻撃を行ったとして、IDFに対し、同地域に侵入したシリア政権軍および兵器への即時攻撃を指示したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。両氏は「イスラエルは、わが国のドルーズ市民との深い血の絆、そしてシリアのドルーズ派との歴史的・家族的な絆に基づき、シリアのドルーズ派が危害を加えられることを防ぐ責任を負っている」と述べた。

この事態を受け、米国のマルコ・ルビオ国務長官は16日、ホワイトハウスでの記者会見で、「これは複雑な問題だ。シリア南西部では、ベドウィンとドルーズ派の間に長年の対立がある」と述べ、「今回の事態は、イスラエル側とシリア側の間で誤解が生じたようだ」と語った。ルビオ長官は、米国が両当事者と連絡を取り合っており、「現在、実質的な緊張緩和に向けて前進している」と述べた。

シリア国営メディア(SANA)によると、シリア内務省は同日、スワイダーにおける軍事衝突を受け、全ての軍事作戦の「完全かつ即時停止」を宣言した。シリア政府とドルーズ派の指導者による共同監視委員会の設置、民間人の保護、拘束者の釈放、衝突中の犯罪行為の調査などを含む停戦合意が発表された。

(中溝丘)

(イスラエル、シリア、米国)

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