英政府、鉄鋼セーフガード措置の強化を発表、当初提案を超える変更も

(英国)

ロンドン発

2025年07月16日

英国政府は6月30日、現在適用している鉄鋼製品に対するセーフガード措置を強化することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(対象製品などの詳細は英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2025年7月1日から2026年6月30日まで適用する。同措置をめぐっては、貿易救済庁(TRA)がジョナサン・レイノルズ・ビジネス・通商相に対し提案を提出(2025年5月28日記事参照)しており、今回、最終的な判断が下されたかたちだ。具体的な措置は次のとおり。

  • 対象となる製品ごとの関税割当枠の増加率を現行の3%から0.1%に削減。
  • 残余割当(特定の国を対象としていない関税割当枠)について1カ国が利用することのできる上限を設定。カテゴリー4(金属めっき鋼板)については15%、カテゴリー7(非合金、その他の合金厚板)、カテゴリー13(鉄筋)については20%に設定。ある1カ国による利用率が上限を超える場合、超えた部分について追加関税を適用。
  • 未使用の割当枠を次の四半期に持ち越す「キャリーオーバー」制度を廃止。
  • 国別割当の対象となっているWTO加盟国について、今回の措置の最終四半期(2026年4月1日~2026年6月30日)の残余割当へのアクセスから除外。
  • 関税割当の対象外となる開発途上国を更新。

これらの措置のうち、TRAから削減が提案されなかった関税割当枠の増加率(現行3%)については0.1%まで引き下げられたほか、残余割当への国別上限についてもTRAの提案(40%)から大きく引き下げられた。

今回の決定に対し、英国の業界団体UKスチールは、政府による迅速な対応を評価し、米国による追加関税(詳細はジェトロウェブサイト参照)に伴う貿易転換が英国国内の鉄鋼メーカーに与える影響を軽減する上で重要とした。それを踏まえ、2026年6月30日で失効する現行のセーフガード措置に代わる新たな包括的な措置で補完する必要性に言及した。TRAは2025年6月25日、新たな貿易措置に関し意見公募を行うことを発表、8月7日まで関係者からの意見を受け付けている(詳細は英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(山田恭之)

(英国)

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