ルクセンブルク最大級のテックイベント、日本からは2社参加
(ルクセンブルク、日本)
ブリュッセル発
2025年07月14日
ルクセンブルクで国内最大級のテックイベント「NEXUS」が6月17~18日に開催され、57カ国から8,500人以上が参加した。同国経済省に選出されたスタートアップ144社が出展し、ピッチやビジネスマッチング、ネットワーキングが開催された。
日本からは次のスタートアップ2社が選出された。
- Aerosense(エアロセンス):人工知能(AI)を使った災害救護や離島・中山間地物流、インフラ点検・物流向けのドローンソリューションを開発・提供。
- Citadel AI(シタデルAI):AIの誤りや脆弱(ぜいじゃく)性、リスクを感知し、制御するソフトウエアを開発・提供。
エアロセンス取締役の嶋田悟氏に海外戦略を聞いたところ、日本と同じインフラレベルを擁する欧州と米国の市場で、古いインフラのメンテナンスは不可欠で、人件費が高騰する中、人手不足を補うツールとして同社の製品に需要があると考えたという。米国は大規模市場として魅力があるものの、保護主義的な政策方針を掲げる第2次トランプ政権の発足以来、ビジネス環境として検討するには難しいと判断し、ルクセンブルクには、欧州各国へのアクセスや、アフリカ市場開拓の足掛かりとしても期待しているという。
エアロセンスの嶋田取締役(ルクセンブルク貿易投資事務所提供)
アジアと欧州のスタートアップエコシステムに関するパネルディスカッションでは、韓国やシンガポールの一極集中型エコシステムの特徴や、企業と研究機関が中心となる資金調達の動向などが紹介された。登壇したジェトロ・ロンドン事務所の蒲田亮平次長は、日本とEUは優れたアカデミアが分散している点でイノベーションのエコシステム構造が類似していることに言及した。今後5年間の日欧連携の方向性について、ディープテック分野のルール形成の余地が日欧で広がるとし、優れた産業イノベーションを促す基盤として国際協力の必要性を強調した。なお、同セッションを主催したルクセンブルクの投資誘致・イノベーション促進機関ルクスイノベーション(Luxinnovation)とジェトロは、協力覚書(MOC)を2022年に締結(2022年10月11日記事参照)している。
パネルディスカッションの様子。左から、ルクスイノベーションのジェニー・ヘレン・ヘドバーグ国際ビジネス開発部長、R3iベンチャーのリーサ・ソウレドル創設者、ジェトロ・ロンドン事務所の蒲田次長、Letituのマルコ・リ最高経営責任者、NTUシンガポールのニールズ・デ・ボー最高執行責任者、ルクセンブルク大学のクリスティアン・ビンセノ教授(ジェトロ撮影)
(大中登紀子、大河原楓)
(ルクセンブルク、日本)
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