ルクセンブルク商工会議所とルクスイノベーション、ジェトロとMOC締結

(ルクセンブルク、日本)

ブリュッセル発

2022年10月11日

ルクセンブルク経済省は103日、同国最大の経済団体のルクセンブルク商工会議所と、同国の投資誘致・イノベーション促進を担うルクスイノベーション(Luxinnovation)がそれぞれジェトロと、クロスボーダービジネスの促進に向けた協力覚書(MOC)を締結したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、注1)。

今回のMOCは、両国のビジネス・社会環境が双方の企業にビジネス機会を提供するという理解の下で締結された。発表によると、超高齢化や生産性の低下、都市と地方の経済格差などの社会課題を抱える日本は、デジタル技術やイノベーションに強みを有するルクセンブルク企業にとって有望な市場だ。また、ルクセンブルクは日本でよく知られた金融・フィンテック分野にとどまらず、情報通信技術(ICT)やサイバーセキュリティー、宇宙といった分野でも近年強みを発揮しており、ダイナミックなエコシステムとビジネスフレンドリーな投資環境は日本企業にとって欧州の中で魅力的な場所だとした。

締結式に参加したルクセンブルクのフランツ・ファイヨ経済相は、今回の2つのMOCが両国の経済関係を一層強化することを期待するとともに、2025年の大阪・関西万博では、サーキュラーエコノミーの実践をコンセプトに、日本にルクセンブルクを強くアピールする意向と述べた。

MOCに基づき、各関係団体はイベントの共催や、両国企業への共同支援、第三国での協力などで連携していく。国境を越えたオープンイノベーションの分野では既に、ビジネスセミナーなど共催イベントの開催が予定されており、両国の競争力の強化や、両国の社会・産業の発展に影響を与えることが期待される。

写真 協力覚書の締結式の様子(ジェトロ撮影)

協力覚書の締結式の様子(ジェトロ撮影)

ルクセンブルクはイノベーションの育成に力を入れている。直近では、政府が鉄鋼大手アルセロール・ミタルと脱炭素技術への投資支援に関する覚書を締結したと発表し(2022年10月3日記事参照)、ルクセンブルク大学などの研究機関とともにイノベーションクラスターの形成を目指していくとしている。

欧州委員会が914日に発表した「欧州イノベーションスコアボード2022PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」(注2)によると、ルクセンブルクはEU加盟国別の順位で7位となった。同発表の中で上位5カ国が構成する「イノベーションリーダー」(注3)には及ばなかったものの、人材や研究システム、産官学連携、情報技術の活用などの項目で、EU平均を大きく上回る評価を受けた。

(注1)ジェトロは2022年10月5日付「お知らせ」欄で同協力覚書(MOC)の締結について発表。

(注2EU加盟国の人的資源や研究体制など、イノベーションに関する各種指標を指数化し、各国の強みを比較分析した報告書。

(注3)スウェーデン、フィンランド、デンマーク、オランダ、ベルギー

(大中登紀子)

(ルクセンブルク、日本)

ビジネス短信 0a4483d6c5da95ee