電子システムVNeID、外国人・企業向け運用開始、企業代表者の登録必要

(ベトナム)

ハノイ発

2025年07月17日

ベトナム公安省が開発した電子身分証明システム「VNeID」について、外国人および外国企業・組織向けの登録・システム運用が7月1日から始まった。8月19日までは、外国人向けアカウントの対応強化期間として、窓口受付時間の延長などの措置が講じられる。組織の代表者は、オンラインで行政手続きを行うため登録が必要になる。

VNeIDはもともと、ベトナム国民が行政サービスなどを利用するための電子システムとして活用されてきた。今回、生活の利便性向上やオンラインの行政手続きの迅速化を目的に、企業や個人の情報の一元管理を進める中で、外国人・外国企業も登録対象に加わった。登録を義務付ける明文規定はないが、法人用アカウントは法定代表者(または委任を受けた者)個人のアカウントとひもづけられる。そのため、法人が行政手続きを行うには、法定代表者(または委任を受けた者)の顔写真と指紋の登録が事実上必須となる(注1)。

2025年7月時点では、外国人がアカウント登録を申請する際、申請者本人が各省・市の出入国管理局(注2)の窓口に出向く必要があり、委任状による申請は認められていない。申請時に持参する書類は次のとおり(7月15日時点の情報。今後、変更の可能性もある)。

  • パスポート
  • テンポラリーレジデンスカード(TRC)または永住カード(PRC)
  • 申請者本人または法人名義の携帯電話番号
  • 申請書TK01(窓口で記入可)

出入国管理局は申請要件を確認し、申請者の写真撮影と指紋採取を行う。手数料は無料だ。登録が完了すると、法人アカウントの作成・ひもづけによって、VNeIDアプリを通じて行政手続きが可能となる。

従来どおりの行政手続きも現状は受け付けられているが、今後VNeIDを利用した手続きへ完全移行する可能性があるため、ベトナム日本商工会議所(JCCI)は早めの登録を推奨している。

また、組織の代表者以外の外国人のアカウント登録は任意で、当面は必要性は低い。しかし、今後は行政サービスなどでの電子手続きが主流化すると、駐在員などの長期滞在者は事実上登録が必要になる可能性もある。

(注1)VNeIDには、基本情報のみを登録するレベル1と、顔写真と指紋情報も登録するレベル2の2つの区分がある。法人用アカウントを利用するためにはレベル2まで登録する必要がある。

(注2)7月1日にベトナムの地方省・市が再編されたため(2025年7月1日記事参照)、出入国管理局の体制も変更が見込まれるが、当面の間は、再編前の区分における各省・市の出入国管理局が存続し、対応を行う予定。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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