ロシア連邦航空輸送庁、中東空域における飛行禁止措置を解除
(ロシア、イラン、イスラエル、中東)
調査部欧州課
2025年07月03日
ロシア連邦航空輸送庁は6月27日、イラク、イラン、ヨルダンの空域におけるロシア航空機の飛行禁止措置を解除した。25日にはカタール空域の飛行禁止措置を解除した。イスラエル空域の飛行は、特定の時間を除いて禁止措置を解除した。中東情勢の悪化を受け、同庁は6月13日からイスラエル、イラン、ヨルダン、イラクの空域、23日からカタール空域の飛行を禁止していた(「RBK」6月13日、「インターファクス通信」6月23日)。
ロシアの航空会社は、解除された空域を通る便を再開させる予定だ。ロシアのレッドウィングス航空は6月26日、7月2日からモスクワ、サンクトペテルブルク、ソチからイスラエルへのフライトを再開すると発表した。アエロフロート航空も6月27日に自社のSNSで7月4日からモスクワ発テヘラン行きの便を再開させると発表し、航空券の予約を開始している。
イランの航空会社は、すでにイラン~ロシア間の便を再開した。6月27日にはイランの民間航空会社マハン航空のマシュハド発の便が、モスクワのシェレメチェボ空港に到着した(「TOURDOM.RU」6月27日)。
6月23日に米国のドナルド・トランプ大統領から停戦合意が発表されたイスラエル・イラン情勢(2025年6月25日記事参照)を巡っては、ロシアはイスラエルの軍事行動を非難したが、イランへの軍事支援は行わない姿勢を示した。
ロシア外務省は6月13日に、イスラエルが同日に行ったイランの核施設に対する先制攻撃について、国連憲章および国際法に違反するとして非難を表明した。ウラジーミル・プーチン大統領も6月23日、モスクワを訪問したイランのアッバース・アラーグチー外相との会談で、イスラエルの行動には正当性がないと述べた。
一方、ロシアはイランの軍事支援を行わない方針を示した。プーチン大統領は6月19日のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで行われた外国の報道機関との記者会見で、イランがロシアに軍事支援を求めていないと述べた。また、両国が2025年1月17日に締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」(2025年1月27日記事参照)には、有事の際の相互軍事支援は含まれていないと説明した。一方、2024年12月4日に発効したロシアと北朝鮮間の同様の名称の条約には、有事の際の相互の軍事支援に関する内容が盛り込まれている(「RBK」6月19日)。
(小野塚信)
(ロシア、イラン、イスラエル、中東)
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