再びケニア全土で大規模な抗議デモ発生、31人が死亡
(ケニア)
ナイロビ発
2025年07月14日
ケニアで6月25日の抗議デモ(2025年7月1日記事参照)に続き、7月7日に再び全土で大規模な抗議デモが発生した。7月7日は1990年の民主化要求デモ「サバサバ」から35年の節目に合わせて呼びかけられたもので、早朝からナイロビ市中心部はバリケードで封鎖する厳重な警備態勢が敷かれた。しかし、ナイロビ郊外のキアンブ郡やカジアド郡などで治安当局との衝突が起こり、同日夜のケニア国家警察による発表では、今回のデモで11人が死亡、11人が負傷、567人を逮捕したとされ、ケニア国家人権委員会(KNCHR)が翌8日に発表したところでは、死亡は31人、負傷107人、逮捕532人だったとされている。
ケニアに進出する日系企業も7日は再び在宅勤務などの措置を強いられるなど、断続的な抗議デモの発生による経済的な損失が懸念されている。「ビジネス・デーリー」紙(7月10日付)は、ナイロビ市の1日の損失額は104億シリング(約118億5,600万円、1シリング=約1.14円)に及ぶと推計している。リー・キニャンジュイ投資・貿易・産業省長官は8日、自身のSNS上で「生活費の高騰に抗議することで事業や雇用を犠牲にはできない。問題を悪化させるだけだ。失業者は増えている」と述べ、デモを批判した。ケニア全国商工会議所(KNCCI)やケニア民間セクター連合(KEPSA)も、抗議デモの悪化に懸念の声を上げている。
ウィリアム・ルト大統領は9日に行った演説で抗議デモについて触れ、「他人の財産を燃やそうとするものは足を撃たれて、裁判所に行く途中で病院に搬送されるべきだ」「(警察は)人を殺すのではなく、足を撃つべきだ」と発言し、物議をかもしている。
(佐藤丈治)
(ケニア)
ビジネス短信 3312419a088f9ea4