スバルの新型EV、米ニューヨーク市マンハッタンで世界デビュー

(米国)

ニューヨーク発

2025年07月24日

スバルは717日、米国ニューヨーク市マンハッタンで、新型バッテリー式電気自動車(BEV)「アンチャーテッド(Uncharted)」を発表した。世界初公開となる。現在市販中の「ソルテラ」、2026年発売予定の「トレイルシーカー」に続くBEV3弾だ。

写真 スバルの新型BEV「アンチャーテッド(Uncharted)」(ジェトロ撮影)

スバルの新型BEV「アンチャーテッド(Uncharted)」(ジェトロ撮影)

この車は、前の2モデル同様、トヨタとの共同開発品で、日本国内での生産を予定している。ボディーサイズはトヨタ「C-HR」クラスで、従来モデルよりも小型だ。トレイルシーカーなどと同じ74.7キロワット時(kWh)のリチウムイオンバッテリーを搭載するが、1回の充電による推定航続距離は最大290マイル(約467キロ、全輪駆動モデル)で、従来比で改善した。充電ポートはテスラが開発した北米充電規格(NACS)に対応し、150kWの急速充電で10%から80%までの充電時間は約30分。

発売は2026年初頭を予定している。スバルのプロダクトマネジメント担当者はジェトロに対し、「全長はソルテラより約7インチ(約18センチ)短く、スポーティーなデザインだ。若者や若い世代の家族にも訴求したい」と語った。

価格は未定だが、2026年モデルのソルテラ〔希望小売価格(MSRP)は3万8,495ドル〕より手頃な価格となる可能性もある。ただし、関税などの不確定なコストが価格設定に影響しそうだ。さらに、別の担当者は「関税もさることながら、(インフレ削減法による)クリーンビークル(CV)への税額控除の撤廃が痛手だ」と述べた。現行制度では、一定の要件を満たせば、新車1台当たり最大7,500ドルの税額控除が受けられるが、7月4日に成立した「大きく美しい1つの法案(OBBBA)」により、控除措置は2025年9月30日で終了となる(2025年7月15日記事参照)。

アンチャーテッドと同じBEVのコンパクトなスポーツ用多目的車(SUV)セグメントには、現代自動車の「コナ」(MSRP:3万6,975ドル)や起亜の「ニロ」(同:3万9,600ドル)などが競合する。米国のBEV平均販売価格は1台5万7,734ドルと高水準で(注1)、比較的手頃な同セグメントには一定の需要があるとみられる。アンチャーテッドは航続距離や馬力(注2)ではこれら競合モデルを上回っており、今後の価格戦略が注視される。

テスラが先行してきたBEV市場には変化の兆しが見え始めており、既存自動車メーカーが徐々にシェアを伸ばしている。既に信頼性では一定の評価を得るスバルが今後、BEV市場でいかに存在感を高めていくか注目される。

(注1)2025年5月時点。コックス・オートモーティブ発表。

(注2)338馬力。

(大原典子)

(米国)

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