インド自動車輸出、今後のさらなる拡大に期待
(インド)
ベンガルール発
2025年07月23日
インドの自動車産業の持続的成長は、生産能力を強化して輸入依存の低減などを目指す「自立したインド」政策の実現に向け、国内の製造業を振興させ、GDPに占める製造業の比率を目標とする25%に引き上げるうえで重要課題の1つとなっている。また、インドが長年抱える貿易赤字の縮小に向け、乗用車や二輪車を中心とする自動車の輸出拡大に対する政府の期待は大きい。
インドの乗用車の国別輸出額の推移をみると(添付資料表1参照)、2024年は69億8,300万ドルで、2019年の70億100万ドルから0.3%減と、新型コロナウイルス禍前の水準までほぼ回復しつつある。輸出先の上位はサウジアラビア、南アフリカ共和国、メキシコ、日本、アラブ首長国連邦(UAE)などだ。上位10カ国の全体的な傾向としては、中東・アフリカ地域への輸出の伸び幅が大きい。一方、2019年に10億5,200万ドルだった米国向け輸出額は2024年に890万ドルと大きく減少している。日本への輸出額は6億8,400万ドル(2024年)で、2019年比12倍以上の伸びを示している。
2024年の車種別の乗用車輸出額では(添付資料表2参照)、排気量1000cc超、1500cc以下が50億4,100万ドル(構成比72.2%)、1000cc以下が12億2,800万ドル(同17.6%)で、この2つの車種で全体の約9割を占める。このことから、インドの乗用車輸出は小型車を中心に行われていることがわかる。
二輪自動車の国別輸出額の推移をみると(添付資料表3参照)、2024年は31億6,200万ドルで、2019年の20億9,200万ドルから1.5倍に拡大し、過去最大となった。輸出先は上位からメキシコ、コロンビア、ナイジェリア、グアテマラ、ネパールなど、中南米やアフリカ、アジア地域の新興国を中心に輸出されている状況がわかる。
インド国内の自動車市場は今後も堅調に拡大していくことが予想されるが、足元でインド準備銀行(RBI、中央銀行)は国内経済の下振れリスクを軽減させるためにも、2月と4月、6月の3会合連続で政策金利を引き下げ、直近は5.50%に設定し、景気の下支えを目指している(2025年6月11日記事参照)。今後、国内の自動車市場のさらなる拡大を見据えつつ、新型コロナ禍前の水準に戻りつつある乗用車を含めた自動車輸出のさらなる増加に期待が高まる。
(水谷俊博)
(インド)
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