エチオピアのグランドルネッサンスダム工事完了、9月に正式操業の予定
(エチオピア、エジプト、スーダン)
アディスアベバ発
2025年07月09日
エチオピア首相府は7月3日、グランドルネッサンスダム(GERD)が完工したと発表した。9月の操業開始を予定しており、下流国のエジプト、スーダンをはじめとするナイル川流域諸国の政府と国民を操業式典に招待すると表明した。
GERDは、エチオピアがナイル川上流(青ナイル)で建設してきた大規模水力発電ダムで、設備容量は6,450メガワット(MW)、総工費は50億ドル規模に及ぶ。このダム建設を巡っては、水量減少を懸念するエジプトやスーダンとの間で、貯水期間や水量制限などに関する交渉が長年続けられてきた(2020年1月23日記事参照)。発表では、長年の対立を受けて、同ダムは下流国にとって脅威ではなく、地域全体の発展機会だと強調した。
特にエジプトに対しては、同国のアスワンダムがGERDによって水量に影響を受けることはないと明言し、「共有の進歩、共有のエネルギー、共有の水」の理念の下、エチオピアの成長が近隣国の犠牲の上に成り立つことはないとした。また、エチオピアは下流国との建設的な対話に引き続き取り組む用意があるとし、長年の対立に終止符を打つ意向を表明した。
9月の操業開始を控える中、エチオピアはケニア経由でタンザニアへの電力送電を新たに試験開始(200MW)するなど、首相府が発表した「共有のエネルギー」の理念の下、電力輸出拡大の動きも見せている。
(石川晶一)
(エチオピア、エジプト、スーダン)
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