欧州中央銀行、8会合ぶりに主要政策金利据え置きを決定
(EU、ユーロ圏)
デュッセルドルフ発
2025年07月25日
欧州中央銀行(ECB)は7月24日、ドイツ・フランクフルトで開催した政策理事会で、3つの主要政策金利の据え置きを決定した(プレスリリース)。これまで7会合連続で主要金利を引き下げており、2024年7月会合以来、8会合ぶりの据え置きとなる(2024年7月19日記事参照、2025年6月6日記事参照)。預金金利は2.0%、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)は2.15%、限界貸出ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)は2.4%に維持される。
ECBは、今会合での金利据え置きの決定は、経済および金融のデータ、現時点でのインフレの動向、金融政策の効果についての最新の評価に基づいた判断だとしている。足元の経済状況は「良好」で、現在のインフレ率はユーロ圏の中期目標である2%の水準で安定しており、ユーロ圏の経済は厳しい世界情勢の中でもおおむね底堅いものとなっているとした。
ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で、経済成長に対するリスクは「下振れに傾いている」と述べ、「様子見」の立場を維持した。このまま貿易摩擦や地政学的な緊張による不透明な状況が継続すれば、企業の投資意欲や経済成長が抑制される可能性があると指摘した。一方で、もしこれらが速やかに解決すれば、景気改善や経済活性化が期待できるとした。今会合での決定は今後の金利政策の方向性を固定するものではなく、ECBとしては今後も会合ごとに慎重な政策対応をとるスタンスを維持する考えを示した。
次回の金融政策理事会は9月10~11日を予定している。
(マリナ・プタキドウ、櫻澤健吾)
(EU、ユーロ圏)
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