欧州中央銀行、7会合連続で政策金利引き下げ
(EU、ユーロ圏)
デュッセルドルフ発
2025年06月06日
欧州中央銀行(ECB)は6月5日、ドイツ・フランクフルトで開催した政策理事会で、3つの主要政策金利を0.25ポイント引き下げることを発表した(プレスリリース)。これに伴い、6月11日以降、預金金利は2.0%、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)は2.15%、限界貸出ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)は2.4%に引き下げる。今後の安定傾向のインフレ見通しや、現時点でのインフレの動向、金融政策の効果についての最新の評価に基づいた判断だとしている。今回で2024年9月の会合以降7会合連続の利下げとなる。
インフレ率は、ユーロ圏の中期目標2%前後で推移しており、2025年に2.0%、2026年に1.6%、2027年には2.0%と、ECBのエコノミストは予測する。3月予測(2025年3月7日記事参照)と比較すると、2025年と2026年はそれぞれ0.3ポイント下方修正した。エネルギー・食品を除いたコアインフレ率についても、2025年は2.4%、2026年は1.9%、2027年には1.9%となると見通している。
ユーロ圏の経済成長率は、2025年に0.9%、2026年に1.1%、2027年に1.3%と予測した。今後数カ月間に貿易摩擦がさらに激化した場合には、成長率が予測を下回り、逆に貿易摩擦が改善された場合には、成長率が予測を上回る可能性があるとの分析も示した。貿易政策に起因する不確実性により、投資や輸出は短期的に伸び悩む一方、防衛分野やインフラ分野への政府投資の増加は中期的な成長につながるとした。また、貿易摩擦に伴う不確実性の高まりと市場の不安定な反応が金融の引き締めにつながるという4月時点の懸念は和らいだとした。
ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で、インフレ率を2%という目標値で安定させ、金融政策の円滑な波及が維持されるように、あらゆる手段を尽くすと述べた。
次回の金融政策に関する理事会は7月23~24日に予定されている。
(マリナ・プタキドウ、櫻澤健吾)
(EU、ユーロ圏)
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