反不正競争法改正版が可決、中小企業への支払い遅延の禁止など明記

(中国)

北京発

2025年07月04日

中国の反不正競争法の改正版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが6月27日、第14期全国人民代表大会常務委員会第16回会議で可決された。10月15日から施行される。同法は1993年に公表・施行され、2017年と2019年にそれぞれ改正が行われていた。同法は総則、不正競争行為、不正競争が疑われる行為の調査、法的責任、付則の全5章で構成している。今回の改正で8つの条項を追加し、現行の33条から41条になる。

改正版では、不正競争行為に関する規定を拡充した。収賄行為の禁止を追加したほか、混同行為として、他人の登録商標や登録されていない著名商標を無断で商号内に使用することや、他人の商品名称や登録商標などを検索キーワードに設定する行為の禁止を明記した。また、インターネットを利用して生産・経営活動に従事する事業者が詐欺、脅迫などの手段を用いて、他の事業者の商業データを不正に取得または使用することや、プラットフォームルールを利用して他の事業者に対して虚偽の取引や評価、悪質な返品などを実施する行為を禁止することも盛り込んだ。

また、優越的地位の乱用の禁止を明文化した。大型企業が市場での優位性を利用して、中小企業に対し、不合理な支払い期限や支払い方法などの取引条件を強要することや、支払いを遅延させることを禁じる。なお、在中国日系企業などで構成する中国日本商会が発行する「中国経済と日本企業2025年白書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、「大型企業等による優越的地位の濫用に対する規制の導入をめぐる慎重な検討または当該規制における不明確な点の解明」や、「買掛金・代金決済を巡る大手企業への指導」を建議している(2025年6月19日記事参照)

その他、過度な競争の抑制に向けた規定を新たに追加した。プラットフォーム事業者がプラットフォーム内の事業者に対し、原価を下回る価格で販売することを強制、または事実上強制する行為を禁止する。また、プラットフォーム事業者には、プラットフォーム内の公平な競争規則を明確にし、不正競争の通報・苦情受け付け、紛争処理のメカニズムを確立することなどを義務付けた。

また、同法の域外適用を新たに追加した。中国市場の競争秩序を乱し、中国国内事業者または消費者の合法的権益に損害を与える場合、同法や関連法規に基づいて処理するとしている。

全国人民代表大会常務委員会の法律工作委員会民法室の石宏主任は、同法が着実に実施されるために、混同行為の具体化やインターネット上の不正競争行為の認定規則などに関わる関連制度の策定・改正が必要だと指摘した(「第一財経」、7月1日)。今後、関連制度の法整備が注目される。

(張敏)

(中国)

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