米テスラ、ハリウッドに充電器80基設置のレストランをオープン

(米国)

ロサンゼルス発

2025年07月28日

米国の電気自動車(EV)メーカーのテスラは7月21日、カリフォルニア州ハリウッドに充電器80基を設置したレストラン「テスラ・ダイナー(Tesla Diner)」をオープンした。レトロな雰囲気を残しつつ、未来的な世界観を感じられる年中無休・24時間営業のダイナー(注)で、飲食の間にEV車両の充電が可能で、充電の待ち時間には駐車場に併設した2つの大型スクリーンで映画も楽しめる。

テスラのサイバー・トラック同様、ステンレススチールで作られた外装で、250席の広い店内はテスラのブランドや車内を意識した黒と白のシンプルなデザインで、多種類のLED照明を使用し、ラウンジ調の空間となっている。

ハンバーガーやホットドッグを提供しており、ニューヨークやロサンゼルスの高級レストランでシェフ歴を持つエリック・グリーンスパン氏がシェフ兼パートナーの1人として運営に携わる。サンフランシスコ発の著名ベーカリー「タルティーン」のパンや、和牛を使用した豆の煮込み「和牛チリ(ビーンズ)」など、こだわりを持つ食材を提供する。

オープン時はテスラのロボット「オプティマス(Optimus)」がポップコーンを配ったことがソーシャルメデイアで拡散し、そのビデオの視聴者数は1万件を超えた。テスラが将来販売を検討しているロボットの体験ができることも魅力となっている。

テスラの新事業に対し、地元メディアのフォーチュンは「米ウェドブッシュ証券のアナリストがテスラのレストラン事業は全面的なブランド戦略と指摘」と報道した。テスラの最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏はドナルド・トランプ大統領上級政治顧問を務めたが、5月に特別政府職員から離職し(2025年6月2日記事参照)、同氏の政府内での取り組みに対する評価は低かった(2025年6月13日記事参照)。それによって打撃を受けたテスラのブランドイメージを復活させる手段との見方もある。

マスク氏は「このコンセプトのダイナーがうまくいけば、世界中の主要都市に展開する。長距離ルートに設置しているスーパーチャージャー(急速充電器)付近にも展開する」とコメントしている。

(注)ダイナーとは、米国のカジュアルレストランを指し、カウンター席で24時間いつでも食事がとれるスタイルが多い。

(サチエ・ヴァメーレン) 

(米国)

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