「MUSIC AWARDS JAPAN（MAJ）2025」授賞式を京都で開催

「MUSIC AWARDS JAPAN（MAJ）2025」〔CEIPA（注1）主催〕の主要6部門（注2）の授賞式が5月22日、ロームシアター京都（京都市）で開催された。同授賞式はNHKで生中継されたほか、YouTubeで全世界に向けてライブ配信された。最優秀アーティスト賞に輝いたMrs.GREEN APPLE（ミセス・グリーン・アップル）をはじめ、YOASOBI、藤井風、Creepy Nutsのほか、日本の音楽業界の発展に長きにわたり貢献し、活躍しているアーティストをたたえる賞（MAJ Timeless Echo）を受賞した矢沢永吉が出演した。

MAJ（注3）の受賞作の選出は、第1段階として、ビルボードジャパン、オリコンなどの主要データと連携した客観指標でエントリー作品を自動選出。各部門5作品／アーティストをノミネートし、最終的には国内・海外投票メンバーにより最優秀作品／アーティストを決定した。

音楽ビジネスは、ストリーミングサービスの普及でビジネスモデルが変化し、海外とボーダレスにつながり、グローバル規模に広がっている。CEIPAによると、世界を目指すアーティストやそれを支えるマネジメントにとって、海外現地のプロモーターやビジネスパートナーと商談の際に、名刺代わりとなる国際的な日本のアワードをつくるのが目的の1つとされる。音楽ビジネスの海外展開支援の観点から、ジェトロもMAJ2025を後援した。

また、ノミネート曲が発表された後、該当曲の再生数が大きく上昇していることがデータでも報告されており（注4）、アワード効果の表れといえる。

来場した業界関係者からは、「今後さらに盛り上がっていくことが期待できる」「海外からの参加者はまだ少ないと感じたが、アワードが有名になっていけば増えるのでは」などの声が聞かれた。

授賞式に先立つ5月21日、CEIPAは業界関係者向けにシンポジウムを開催した。登壇者からは「音楽はレコードからCD、MD、デジタル音源、配信と常に技術革新とビジネスモデルの最先端で変化してきた。コンテンツだけでなく、ライフスタイル、食、アパレル、自動車など他産業とのコラボ、牽引役を果たすといえる」「海外ではアニメ関連の音楽がリードしてきたが、サブスク配信・ストリーミングが進んでJPOPそのものがアニメ好き以外にも世界に広がり、日本語の歌詞も受け入れられている」といった音楽産業の状況や特徴についての分析がなされた。

MAJ2025の開催を契機として、同アワードが海外を目指す日本のアーティストの目標の場となり、その楽曲やアーティスト自身の海外展開の加速が期待される。

なお、2025年3月に本アワード主催者のCEIPAが「matsuri ‘25: Japanese Music Experience LOS ANGELES」を開催しAdo、新しい学校のリーダーズ、YOASOBIの海外で人気の高い3アーティストによるライブパフォーマンスを行った。ジェトロでは同イベントと連携し、日米音楽業界関係者およびメディアに向けたプレスカンファレンスを開催し、業界関係者間のネットワーキング支援などを行った。

（注1）CEIPA（一般社団法⼈カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会）は、音楽産業主要5団体、一般社団法人日本レコード協会、日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、日本音楽出版社協会、コンサートプロモーターズ協会が集結し、日本のエンタテインメント産業を拡大しグローバルへ発信するために2023年に設立された。

（注2）主要6部門は、「最優秀アーティスト賞」「最優秀楽曲賞」「最優秀アルバム賞」「最優秀ニュー・アーティスト賞」「最優秀アジア楽曲賞」「Top Global Hit From Japan」。

（注3）MAJは、「世界とつながり、音楽の未来を灯（とも）す。」をコンセプトとした国内最大規模の国際音楽賞で、CEIPAが全62部門の賞を創設し、今回が初開催。賞のカテゴリーには、主要6部門の1つであるアジアでヒットしたアジア楽曲に授与される「最優秀アジア楽曲賞」をはじめ、「最優秀海外ポップス楽曲賞」など海外楽曲部門や、韓国、中国、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンで開催されているそれぞれのAWARDと連携した海外特別賞も創設し、合計14の海外部門があることも特徴。

（注4）「ビルボードジャパン」（4月23日付）

（中澤義晴）