2024年の中東含む西アジアへの対内直接投資額フローは、前年比4.7%増の821億ドル
(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト)
調査部中東アフリカ課
2025年06月25日
国連貿易開発会議(UNCTAD)が6月19日に発表した「世界投資報告2024」によると、中東を含む西アジア(注)への対内直接投資フロー(流入)は、前年比4.7%増の821億ドルに達した。
2024年の対内直接投資額フローを国別にみると、中東では、アラブ首長国連邦(UAE)が最多で、前年比49%増の456億ドルで世界10位(前年13位)に浮上した。また、サウジアラビアが157億ドルで20位(前年同順位)だった。なお、同統計ではアフリカに含まれるエジプトがUAEからの大型投資により、約470億ドルで世界9位(前年32位)となった。また、「その他の先進国」に含まれるイスラエルが約170億ドルで世界19位(前年23位)だった。
投資件数をみると、世界首位の米国(2,460件)に次いで、UAEが2位(1,359件)だった。
GCC加盟6カ国が9割
湾岸諸国協力会議(GCC)加盟6カ国(サウジアラビア、UAE、カタール、クウェート、オマーン、バーレーン)の対内直接投資額の合計をみると、2024年は2019年と比べて3倍以上増加の約740億ドルだ。GCC6カ国で中東(西アジア)全体の9割を占めた。投資分野は従来多かった石油・ガス分野から多角化が進んでいるという。
2024年の西アジアの上位国の対内直接投資金額および前年比増減率は次のとおり。
- UAE:456億ドル、前年比49%増
- サウジアラビア:157億ドル、31%減
- トルコ:106億ドル、0.4%減
- オマーン:87億ドル、83%増
- バーレーン:25億ドル、66%減
- レバノン:18億ドル、72%増
- ヨルダン:16億ドル、19%減
- ジョージア:13億ドル、30%減
- クウェート:6億ドル、71%減
- カタール:5億ドル、197%減
グリーンフィールド投資減少、プロジェクト・ファイナンス増加
2024年のグリーンフィールド投資をみると、中東は4前年比5%減の560億ドルだった。国別の金額ではサウジアラビアが最多、件数はUAEが最多だった。
国際プロジェクト・ファイナンス案件では、中東は前年比5%増の779億ドルとなった。国別では、首位のサウジアラビアが10%増、2位のUAEが17%増だったが、3位のイラクが約4倍(104億ドル)と急増した。
なお、エジプトの伸びもあり、2024年のアフリカへの対内直接投資フローは前年比75%増の970億ドルに達し、過去最高を記録した(2025年6月23日記事参照)。また、日本銀行によると、日本から中東への投資は前年比540億円増の1,245億円だった(2025年5月1日記事参照)。
(注)UNCTAD報告書の西アジアには、アルメニア、アゼルバイジャン、バーレーン、ジョージア、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、オマーン、カタール、サウジアラビア、シリア、トルコ、UAE、イエメン、パレスチナが含まれる。同報告書の分類ではイランは南アジアに含まれる。
(井澤壌士)
(中東、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、エジプト)
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