2024年のアフリカへの対内直接投資額(流入)、前年比75%増の970億ドルで過去最高
(アフリカ、エジプト、モロッコ、エチオピア、中国)
調査部中東アフリカ課
2025年06月23日
国連貿易開発会議(UNCTAD)が6月20日に発表した「世界投資報告2024」によると、2024年のアフリカへの対内直接投資(FDI、流入額)は前年比75%増の970億ドルに達し、過去最高を記録した。世界シェアは2023年時点の4%から6%に上昇した。
急増の主な要因は、エジプトにおける都市開発のためのアラブ首長国連邦(UAE)からの国際プロジェクト・ファイナンス案件だった。なお、この案件を差し引いても、12%増加を見せているという。
北アフリカで投資増加
エジプトのほかでも、北アフリカが好調で、モロッコでは55%増の16億ドル、チュニジアは21%増の9億3,600万ドルに達した。
国際プロジェクト・ファイナンス案件では、大型のエネルギーや輸送インフラプロジェクトが増加し、金額では前年から15%増加した。再生可能エネルギー分野が顕著な増加を見せ、エジプトでの風力発電所、太陽光発電所などの大型案件があった。チュニジアとモロッコ、サブサハラ・アフリカのナミビアでも再エネ関連の大型案件があった。
一方で、アフリカ全体ではグリーンフィールド投資が減少し、発表件数は前年比5%減、金額は同37%減となった。アフリカ全体ではグリーンフィールド投資は減少したが、北アフリカでは12%増で、アフリカ全体の設備投資プロジェクトの3分の2を占めたという。分野を見ると、建設と金属製品関連のグリーンフィールド投資が最も増加したが、電力・ガス供給関連のプロジェクトは減少した。
エチオピアやコートジボワールも上位
サブサハラ・アフリカでは、エチオピア、コートジボワール、モザンビーク、ウガンダなどが上位で、前年から増加した。2024年の投資の上位国は次のとおり。
- エジプト:466億ドル(前年比4.7倍)
- エチオピア:40億ドル(22%増)
- コートボワール:38億ドル(53%増)
- モザンビーク:36億ドル(42%増)
- ウガンダ:33億ドル(10%増)
- コンゴ民主共和国:31億ドル(21%増)
- 南アフリカ共和国:25億ドル(29%減)
- ナミビア:21億ドル(10%減)
- セネガル:20億ドル(58%減)
- タンザニア:17億ドル(28%増)
投資残高は欧州、米国、中国が多い
アフリカへの対内投資残高をみると、欧州(オランダ、英国、フランスなど)が最多で、米国と中国がこれに続くかたちだ。中国からの投資は420億ドルで、医薬品や食品加工などの分野に多様化している。なお、中国が主導する「一帯一路」構想に関連するアフリカでのプロジェクトの3分の1は現在、社会インフラと再生可能エネルギーとなっているという。
(井澤壌士)
(アフリカ、エジプト、モロッコ、エチオピア、中国)
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