「Cyberview Solution Showcase 2025」、過去20回の卒業生が再集結しイノベーション創出
(マレーシア)
クアラルンプール発
2025年06月20日
マレーシアの政府系企業サイバービュー(Cyberview)は6月12日、「Cyberview Solution Showcase 2025」を開催した。同社が実施するアクセラレーションプログラム「Living Lab Accelerator
」の20回目を記念し、過去の卒業生を含む同プログラムの参加企業のうち、優秀なスタートアップ25社(添付資料表参照)が登壇し、国内外のエコシステムパートナーとのビジネス連携を目指した。
サイバービューは、新興都市サイバージャヤの開発と同地域への企業誘致を行う財務省傘下の政府系企業だ。政府が推進してきた大規模な経済開発プロジェクトのマルチメディアスーパーコリドー(注1)の一環で、マレーシアの情報技術(IT)とマルチメディア産業の発展を目的としている。
イベントの様子(ジェトロ撮影)
同イベントに登壇したスタートアップのうち複数は日本企業との関わりもある。アルトシナジー(ALT Synergy)は人工知能(AI)を活用し、安全で効果的なサプリメント成分の組み合わせを生成し、製造企業とブランドオーナー、販売先をコーディネートする。同社のナッシュ・モハマドCEO(最高経営責任者)は「マレーシアのサプリメント業界では、複雑な規制やサプライチェーンが日本企業を含む有望な製品を有する海外企業の参入障壁となっている。現在連携する日本企業の材料を活用し、マレーシアでハラールに準拠した製品を開発し、われわれのプラットフォームを活用して、ハラールマーケットへのアクセスを目指す実証を進めており、今後も日本企業との連携を拡大したい」と述べた。
アルトシナジーのブース(ジェトロ撮影)
また、AIを活用した企業・市場情報の分析やオンラインサーベイを行うニューウェルロード(Newell Road)の共同創設者の森悠祐氏は「このアクセラレーションプログラムを通して、有効なネットワークを広げることができた。今後はサイバービューに当社のソリューションを試験導入してもらい、製品開発の実証の場として連携を深めていきたい」とコメントした。
サイバービューのシャフィナズ・サリム技術開発部長によると、同社は海外エコシステムパートナーとのビジネス連携強化を積極的に進めている。「サイバージャヤにはディープテック系スタートアップの支援を行うリバネスがセンター・オブ・ガレージ・マレーシア(注2)を設置して、日本のスタートアップの進出を支援しているほか、サイバービューがジェトロのグローバル・アクセラレーション・ハブ(注3)のコワーキングスペースパートナーでもあるため、今後も日本の企業の進出を支援していきたい」と意気込みを語った。
(注1)IT産業の発展を進めるべく、マレーシア政府が1996年から25年間続けてきたイニシアチブで、2022年以降は後継政策「マレーシア・デジタル(MD)」に引き継がれている(2022年7月8日記事参照)。
(注2)研究開発型ベンチャー企業のための社会実装拠点。
(注3)ジェトロが海外の有力アクセラレーターなどと提携し、日系スタートアップのグローバル展開を支援する目的で、海外事務所に設置しているプロジェクト。
(都築佑樹、ハズミ・マンソール)
(マレーシア)
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