デジタル経済拡大に向け新戦略「マレーシア・デジタル」立ち上げ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年07月08日

マレーシアのイスマイル・サブリ首相は74日、デジタル経済発展に向けたイニシアチブ「マレーシア・デジタル(MD)」の立ち上げを発表した(MDECプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。MDは、IT産業の発展を進めるべく25年間続けてきた「マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)」(ジェトロ「外資に関する奨励」参照)の後継戦略に当たる。政府は20221月にも、ドバイ万国博覧会の場でMSCの改称や強化に言及していた。

MDは、絶えず進化するIT環境の変化により順応させ、デジタル国家としての基盤を構築するものと首相は説明。MDを通じて投資や人材を呼び込み、地場企業や人材のデジタル経済への参画を後押ししたい考えだ。具体的には、通信マルチメディア省内にマレーシア・デジタル調整員会(MD-CC)を設置し、同委員会が企業へのMDステータス付与も含めMDイニシアチブを運営する。ITベンチャー企業のバイトダンスやブリッジ・データ・センターなど6社が既にMDステータスを取得しているという(MDステータスに関するガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照)。

MD-CCとマレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)が今後MDを主導するが、その初期プログラムとして、マレーシアのデジタルノマド(ITを活用し旅しながら働く)拠点化を目指す「DEランタウ」や、基準や規制を調和しつつオンライン取引を促進する「デジタルトレード」を導入する。また、MDが特に注力する分野として、デジタルツーリズム、イスラムデジタル経済、デジタル貿易、デジタル農業、デジタルサービス、デジタル都市、デジタル医療、デジタル金融、デジタルコンテンツの9つを明示した。

イスマイル・サブリ首相は、2020年にマレーシアのGDPのうち22.6%を占めたデジタル経済が2025年までに25.5%を超えるとの予測を受け、MDはこうした国のデジタル化加速に資するとその意義を強調した。MD立ち上げを受け、マレーシアのIT企業からは「強固なデジタルエコシステムの形成が実現する」「ECを含めた多くの分野が発展し、国家のデジタル化につながる」など、これを歓迎する声が寄せられている。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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