米バッテリーリサイクルのレッドウッド、10億ドルの資金調達を完了

(米国、日本)

ニューヨーク発

2023年09月04日

電気自動車(EV)用バッテリー材のリサイクル企業のレッドウッド・マテリアルズ(本社:米国ネバダ州カーソンシティ)は8月29日、シリーズD(注)の投資ラウンドで10億ドル以上の資金調達を完了したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は2023年2月にエネルギー省からの20億ドルの融資を受けているほか(2023年2月13日記事参照)、今回の調達と合わせて20億ドル近くを自己資本として調達済み。これらの資金により、継続的な自社の生産能力の増強と、米国内でのバッテリーサプライチェーン拡大を目指す。

レッドウッド・マテリアルズは、EV大手テスラの共同創業者兼最高技術責任者(CTO)だったJB・ストローベル氏が2017年に創業し、最高経営責任者(CEO)を務めているスタートアップ。テスラのほか、フォードやトヨタ、フォルクスワーゲン、ボルボといった完成車メーカーや、バッテリーメーカーのパナソニックやエンビジョンAESCなどと、供給や調達に関する契約を結んでいる(2022年12月16日記事参照)。

レッドウッド・マテリアルズによると、リチウムイオンバッテリーを含む製品のリサイクル率は5%未満にすぎない。一方、同社では、バッテリーの主要材料の95%が回収可能だという。2025年までに年間でEV100万台分に当たる100ギガワット時(GWh)、2030年までに500万台分に当たる500GWhに相当する正極材と負極材の製造を目指す。

今回の発表に際し、主要投資家の1つであるゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントでプライベート・エクイティ担当マネージング・ディレクターを務めるセバスチャン・ギャニオン氏は「電動化のメガトレンドが加速し続ける中、地域で持続可能な電池材料のサプライチェーンを構築することがこれまで以上に重要になっている」「(われわれは)今後数年間レッドウッド・マテリアルズと協力し、当社のグローバルプラットフォームを活用して同社の成長をサポートしていきたいと考えている。レッドウッド・マテリアルズの成長は、現在進行中のエネルギー転換において重要な役割を果たすだろう」とコメントした。

(注)スタートアップ、ベンチャー企業に対する投資ラウンドのうち、収益が安定的で、IPO(新規株式公開)やM&Aなどイグジットを検討する段階。

(大原典子)

(米国、日本)

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