欧州委、デジタルサービス法の下、大規模オンライン仲介事業者を指定

(EU)

欧州課

2023年05月02日

欧州委員会は4月25日、オンライン仲介サービスを提供する事業者に対する規制枠組みのデジタルサービス法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(DSA、2022年10月6日記事参照)に基づき、17の「非常に大規模なオンラインプラットフォーム(VLOP)」と、2つの「非常に大規模なオンライン検索エンジン(VLOSE)」を指定した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、添付資料表参照)。

DSAは2022年11月16日に施行され、ソーシャルメディアやオンライン・マーケットプレース、検索エンジンなど、EU域内でオンライン仲介サービスを提供する全ての事業者が規制対象となっている(注)。オンライン仲介サービス事業者に対し、違法コンテンツをはじめ、違法な製品やサービスを排除するための措置を義務付け、利用者の基本的権利の保護を強化し、透明性確保と説明責任を求める包括的な規則だ。特に、EU域内の利用者が月間平均4,500万人以上のVLOPとVLOSEについては、リスク評価の実施と緩和措置の導入、監査の実施など、より厳格なルールが義務付けられている。DSAに基づき、各事業者は2月17日までに利用者数に関するデータの公表が求められ、今回初めて欧州委によってVLOPとVLOSEの指定が行われた。

指定されたオンライン仲介サービス事業者は、決定の通知から4カ月以内に、自社のシステムやリソース、プロセスをDSAに適応させ、法令順守のための独立したシステムを立ち上げ、最初の年次リスク評価を実施し、欧州委に報告する必要がある。

義務不履行の場合には制裁金も

DSAは2024年2月17日から全面的にEUで適用される予定で、オンライン仲介サービス事業者によるDSAの履行状況は今後、欧州委と加盟国の当局によって監視される。加盟国は国内に設置されたオンライン仲介サービス事業者のDSAへの順守状況を監督する、独立した権限を持つ「デジタルサービス調整官」を同じく2024年2月17日までに設置することになっており、デジタルサービス調整官には、オンライン仲介サービス事業者が義務に違反した場合の制裁金を含む罰則の執行権限などが与えられる。一方、VLOP、VLOSEについては、欧州委が直接監督し、罰則の執行権限を有する。オンライン仲介サービス事業者が義務に違反した場合の制裁金は、当該事業者の前会計年度の全世界年間売上高の6%が上限となる。

(注)DSAに関する詳細は、ジェトロの調査レポート「EUのオンラインプラットフォーム政策の概要 EUデジタル政策の最新動向(第3回)」(2023年2月)を参照。

(土屋朋美)

(EU)

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