売上サービス税の対象拡大、7月1日から民間医療や教育にも課税強化

(マレーシア)

クアラルンプール発

2025年06月12日

マレーシア財務省は6月9日、売上サービス税(SST)の対象を7月1日から拡大すると正式に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。SSTの課税対象拡大については、2025年国家予算案にも盛り込まれ(2024年10月25日記事参照)、当初は5月1日から実施予定だったが、財務省は延期すると4月28日に発表していた。

売上税については、食品や医薬品を中心とした生活必需品の税率は据え置く一方、一部輸入食材など高級品(注1)への課税を強化する。サービス税では、これまで非課税だったレンタル・リース(7月1日から8%)、建設(6%)、手数料や仲介料に基づく金融サービス(8%)、民間医療(6%)、教育(6%)、美容(8%)の6分野に課税範囲を拡大する(注2)。現行のサービス税率は原則として8%(2024年2月29日記事参照)。7月以降の課税の詳細は財務省プレスリリースの添付資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で確認できる。

財務省は、今回の措置の目的が国民の大多数に過度の負担をかけることなく、歳入増と税基盤の拡大を実現することで、国の財政状況を改善することだと説明した。SST拡充による追加税収は、国民への直接的な現金給付の増額、インフラ整備の強化、公共サービス効率化につなげたい考えを示した。

同省はまた、課税範囲見直しに当たっては、業界団体をはじめ関係者との協議や業界からのフィードバックも考慮し、国民の多くに影響を与えないよう、また、企業への打撃も最小限とするよう努めたとも強調した。影響緩和策として、二重課税を回避するため、企業間取引をサービス税の課税対象から免除するほか、対応に取り組む事業者に対する罰則を2025年12月末まで適用しないことを決めた。

(注1)無税だったものが5%に引き上げられる品目として、タラバガニ、サーモン、タラ、トリュフ、輸入果物、エッセンシャルオイル、絹布、産業用機械などを例示している。競技用自転車やアンティークの手描き絵画などは10%が課される。

(注2)一定の売上高に満たない事業者は課税対象から免除される。例えば、リース・レンタルでは、年間売上高50万リンギ(約1,700万円、1リンギ=約34円)超の事業者のみが新たな税率の対象。このほかにも、サービスごとに複数の免除事項が定められた。詳細はサービス税に関する説明資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(マレー語のみ)も参照。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

ビジネス短信 79f13d2bdc9b9fdd