中国、日本産水産物の輸入を一部再開
(中国、日本)
北京発
2025年06月30日
中国税関総署は6月29日、「日本の一部地域の水産物の条件付き輸入再開に関する公告」(税関総署公告2025年140号)により、原産地の福島県、群馬県、栃木県、茨城県、宮城県、新潟県、長野県、埼玉県、東京都、千葉県の10都県を除く日本の水産物(食用水生動物を含む)の輸入を条件付きで再開するとした。同公告は即日適用された。この公告に伴い、2023年8月24日に発表していた「日本水産物の輸入全面停止に関する公告」(税関総署公告2023年第103号、2023年8月25日記事参照)は廃止となった。
今回の公告では、日本による福島第1原子力発電所のALPS処理水(注1)の海洋排出に対する国際的モニタリングや、中国による独自のサンプリング検査の結果に異常がないこと、中国に輸出する水産物の品質と安全性を日本政府が保証することを前提に、中国の食品安全法規とWTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定などに基づき、消費者の合法的な権利と利益を保護することを目的に、日本の一部地域の水産物の輸入を条件付きで再開することを決定したとしている。
水産物を中国へ輸出する日本側企業は、中国の「輸入食品海外製造企業登録管理規定」などの関連規定に準ずることとし、輸出を一時停止していた日本の水産物メーカー(注2)は中国での再登録を行う必要があるとしている。また、日本産水産物の輸出を申告する際、日本の公的機関が発行した衛生証明書、放射性物質検査合格証明、産地証明を提出しなければならないとしている(注3)。
また、中国税関は中国に輸出される日本産水産物に厳格な監督管理を実施し、中国の関連法規や食品安全基準に適合していないことが判明した場合、または、日本側が公的な監督責任を果たしていないことが判明した場合、中国国民の健康と安全を保護するための管理措置を即座に講じるとしている。
在中国日系企業などで構成する中国日本商会が6月17日に発行した「中国経済と日本企業2025年白書」(2025年6月19日記事参照)では、日本産水産物輸入停止措置の撤廃を求めてきた。
(注1)中国はALPS処理水について「核汚染水」と表現している。
(注2)食用水生動物を輸出する企業のほか、養殖、包装に係る企業も再登録が必要とされている。
(注3)再登録手続については、日本の農林水産省ウェブサイト「中華人民共和国向け輸出水産食品及び活水産物取扱施設の輸出再開に向けた手続について」を参照。中国輸入食品海外製造企業登録管理規定は2021年5月24日記事参照。
(亀山達也)
(中国、日本)
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