ステランティス、アルジェリアでサプライヤー数拡大

(アルジェリア、イタリア、ドイツ、トルコ、フランス、オランダ)

パリ発

2025年06月16日

自動車世界大手ステランティスは5月20日と21日、海外の自動車部品サプライヤーのアルジェリア進出と現地サプライヤーの育成を促すため、同国内外の自動車部品企業75社を集め、同国第2の都市オランで第2回国際サプライヤー会議を開催した。その際、同社は2030年をめどに、アフリカ・中東地域で販売する自動車100万台の90%を同地域内で製造する目標を設定の下、同国やアフリカ・中東地域での産業戦略を紹介した(5月22日付同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

また、同会議の開催中、ステランティスは同社傘下にあるイタリア自動車メーカーのフィアットのオラン県タフラウイ工場(2023年12月21日記事参照)向けに、アルジェリアに製造拠点を所有しているトルコのマルトゥル(自動車シート)、ドイツのプーレム(排気システム)、イタリアとアルジェリアの合弁会社シジット-ACS(プラスチック部品)、アルジェリアのシルバートン(スピーカーシステム)といったサプライヤー4社と意向書を締結した。これにより、同工場への部品供給でティア1(注)パートナーは合計12社となった。

国内製造に当たっては、乗用車、バス、トラック、バイクなどを対象とした政令22-384号に基づき(2022年11月25日記事参照)、国内調達率に関する要件をクリアする必要がある。最終営業認可を2023年に取得してから2年後に10%以上、3年後に20%以上、5年後に30%以上の目標値を達成する必要がある中、ステランティスは対応を急いでいる。タフラウイ工場の生産台数は2024年に1万8,000台を記録した。

一方、2014年に稼働を開始し、2万5,000台の年間生産能力があったルノーのオラン工場は、自動車組み立て用部品の輸入制限と現地製造規制の改定の影響で、2020年に生産を中止した。同社の国内調達率に関する対応が不十分と報道されている。ルノーは新政令の条件に対応するために、2022年以降、オラン工場の整備に約1億2,000万ユーロを投資し、稼働再開に向けて2024年に営業認可申請をアルジェリア産業省に提出した。しかし、産業省は2025年3月に認可申請を却下したことから(5月15日付「ル・フィガロ」紙ウェブ版)、ルノーは引き続き対応が迫られる。

(注)ティア1は自動車メーカーと直接取引を行うサプライヤーで、車両の主要なコンポーネントやシステムを提供。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア、イタリア、ドイツ、トルコ、フランス、オランダ)

ビジネス短信 50b0431c3c6e0e86