フィアット、アルジェリアに新工場をオープン

(アルジェリア)

パリ発

2023年12月21日

イタリア自動車メーカーのフィアットを傘下に持つ自動車大手ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)と、アルジェリアのアリ・アウン産業・製薬相らは12月11日、アルジェリア北西部オラン県のタフラウイ工業団地に建設したフィアット新工場の開所式典に出席した(12月11日付国営通信社「アルジェリア・プレス・サービス」)。同工場では「フィアット500」など3車種を生産し、年間生産能力は2026年に9万台に達する見込み。投資額は合計2億ユーロを超える。

2022年10月に新工場計画を発表した際(2022年10月19日記事参照)、アルジェリア政府は自動車の現地製造要件を規定する政令をまだ公布していなかったが、同年11月17日付官報で同要件を定めた22-384号政令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布した。国内調達率や、自動車輸出の義務、電気自動車(EV)製造の義務、一部工程の現地化、燃料の種類の制限などに関し、アルジェリア進出自動車メーカーに多岐にわたる条件を導入した(2022年11月25日記事参照)。国内調達率については、最終営業認可を取得してから2年後に10%以上、3年後に20%以上、5年後に30%以上という目標値を設定した。そのため、現地サプライヤーが乏しい現状では、海外の部品サプライヤーの現地進出を促す必要がある。

2014年にアルジェリアに進出したフランス自動車メーカーのルノーは国内調達率を十分に引き上げることができず、輸入部品に大きく依存していたが、2019年に輸入割当制限が導入されたため、ルノーは同年、現地工場の稼働を中止することとなった(2023年1月30日付地域・分析レポート参照)。こうした中、プラスチック部品、ワイヤーハーネス、タイヤなどの部品調達のため、フィアットはアルジェリアのサプライヤー11社を選定したと報道された。

他方、12月10日、フィアットなど欧米自動車メーカーと取引のあるイタリア自動車部品メーカーのシジットは、自動車産業用プラスチック、ゴム部品の製造に向け、産業・製薬省傘下のアルジェリア化学製品国営公社(ACS)とオラン県での合弁会社の設立について合意書を締結した。欧米系主要自動車部品メーカーの進出は、アルジェリアにとっては初の実績となる。フィアット新工場と同様、オラン県に進出する可能性が高いと報道された。

アルジェリアの新車需要が年間40万台で、アフリカ第2位の規模と推計されており、フィアットが海外大手部品メーカーの進出と現地製造基盤の育成によって国内調達率を拡大できるかが注目される。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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