中国、2024年の鉄道貨物輸送量は前年比2.8%増

(中国)

調査部中国北アジア課

2025年06月16日

中国国家鉄路局は6月6日、2024年の鉄道輸送に関する統計をまとめた「2024年鉄道統計公報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。

公報によると、2024年の鉄道貨物輸送量は前年比2.8%増の51億7,500万トンとなり、2017年から8年連続で増加した。中国と欧州を結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の運行本数は10%増の1万9,000本で、同9%増の207万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)のコンテナが輸送された。

鉄道旅客輸送量は前年比11.9%増の43億1,200万人だった。2024年の鉄道固定資産投資額は前年比11.3%増の8,506億元(約17兆120億円、1元=約20円)に及び、3,113キロの新線(うち高速鉄道は2,457キロ)で営業運転を開始した。鉄道の総営業距離は16万2,000キロ、うち高速鉄道は4万8,000キロ、複線化率は60.8%、電化率は76.2%となった。

中欧班列の累計運行本数は11万本突破、輸送品目の高付加価値化が進む

中国国家鉄路集団は6月10日、中欧班列の運行本数が累計11万本を突破し、貨物輸送額は4,500億ドルを超えたと発表した(注1)。中欧班列は、中国国内の128都市と欧州26カ国・地域の229都市を結んでおり、豊富なネットワークを有している(注2)。

現地メディアによると、2024年の中欧班列での輸送品目のうち、「自動車部品」「機械設備」「電気・電子製品」が60%以上を占め、高付加価値品が主要な輸送品目となっている(「央視新聞」、6月10日)。新エネルギー車、リチウムイオン電池、太陽電池の「新三様(新御三家)」などの中国製品も、中欧班列を通じて輸出されている。2025年3月には東風汽車集団の新エネルギー車(NEV)を運搬する専用列車「中欧班列(武漢)東風号」が初めて運行された。同列車は、同集団傘下のNEVメーカー嵐図汽車(VOYAH)の車両96台を積載し、武漢からモスクワまで運行された。武漢経済技術開発区の発表によると、同列車は東風汽車向けにカスタマイズされた便で、企業の物流コスト削減につながり、同開発区で製造された自動車の効率的な輸出にも役立つとしている。

(注1)中欧班列は2011年から、重慶とドイツのデュイスブルクを結ぶ貨物列車の開通をもって運行を開始した。詳細は2024年3月8日付地域・分析レポート参照

(注2)関連して、昨今ではカスピ海を通じた中欧班列の輸送ルートも構築されている。5月には武漢からカザフスタン・アクタウを経由してカスピ海を渡り、アゼルバイジャン・バクーからジョージアへ至る輸送ルートが運行された。鉄道輸送とカスピ海の海上輸送を組み合わせたルートで、所要時間は約18日だという。

(廣田瑞生)

(中国)

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