海南自由貿易港、東京で総合プロモーションイベントを開催
(中国)
広州発
2025年06月05日
中国海南省政府は5月22日、在日本中国大使館との共催で、海南自由貿易港総合プロモーションイベントを東京で開催した。イベントでは、日本と海南省の経済関係強化を目的に、海南自由貿易港の政策とビジネスチャンスが紹介され、日本企業関係者ら約200人が参加した。
イベントの冒頭では、在日本中国大使館の呉江浩大使があいさつし、「日本企業が海南自由貿易港の建設に積極的に参加し、発展のチャンスを共有できることを期待する」と語った。
また、同イベントに参加した日本の経済産業省通商政策局の田中一成審議官は、「海南省で開催された第5回中国国際消費品博覧会(2025年4月28日記事参照)には、多数の日本企業が出展した。直行便の就航(注1)により、海南省と日本の距離は縮まり、双方間の人の往来がこれまで以上に活発になることを期待する」と述べた。
主催者である中国共産党海南省委員会の馮飛書記は、海南自由貿易港の戦略的政策である離島免税政策や医療・医薬分野における優位性、グリーン発展戦略を紹介し、「日系企業の海南進出はまだ少ないが、ポテンシャルがある。2025年末に、海南省の封関運営(注2)が始まり、海南自由貿易港の発展成果を日本企業と共有できることを期待する」と語った。
海南国際経済発展局は、「ゼロ関税、低税率、自由化」をキーワードに、海南自由貿易港における特定商品輸入時のゼロ関税政策や、奨励対象産業に該当する企業の企業所得税と高度人材の個人所得税をそれぞれ最大15%とする低率税制の適用について紹介した。また、他国で承認された新薬であれば、簡素化された試験、許認可手続きで「海南ボアオ楽城国際医療観光先行区」での使用が許可される医薬分野の優遇政策について触れた。海南省地方金融監督管理局からは、海南自由貿易港の金融産業の発展状況とビジネスチャンスの紹介があった。
日本企業の現地ビジネスを支援する三亜市日本企業インキュベーションセンター(注3)からは、海南省の立地優位性、年間1億人が訪れる巨大なマーケットの魅力、および海南省各都市の特徴の紹介があった。
会場の様子(ジェトロ撮影)
(注1)中国の海南航空は、2025年2月3日に成田~海口市(週1便)、4月2日に大阪~海口市(週3便)の定期直行便の運航を開始。
(注2)中国当局が指定した特定区域において、入境貨物を通関完了していない「保税貨物」として扱い、当該指定特定区域と中国本土との貨物の移出入を「輸出入」とみなし税関が管理すること。海南自由貿易港では、島内全域で「関税ゼロ」とするなど、貿易の自由化を実現する計画。2025年までに貿易・投資の自由化・円滑化を進め、自由貿易港としての初歩的な体制の構築を目指している(2020年6月12日記事参照)。
(注3)2024年10月に、日本企業6社が共同で同センターを中国海南省三亜市に設立した。日本企業の海南自由貿易港の政策への理解を深め、三亜市への進出や事業拡大を支援するプラットフォームとなっている(「海南日報」2024年10月22日)。
(蘇丹娜)
(中国)
ビジネス短信 4bf2b5992758f4b9