豊田通商、米ノースカロライナ州に韓国企業と合弁で車載用バッテリーリサイクル会社を設立
(米国、日本、韓国)
アトランタ発
2025年06月23日
豊田通商は6月19日、車載用バッテリーのリサイクル事業を行うグリーン・メタルズ・バッテリー・イノベーションズ(GMBI)を、韓国のLGエナジーソリューション(LGES、注)と合弁で米国ノースカロライナ州ウィンストン・セーラムに設立すると発表した。GMBIへの出資比率は、豊田通商アメリカが51%、LGESが49%となる。
GMBIは、バッテリーのスクラップを破砕・選別し、レアメタルを多く含むブラックマスと呼ばれる粉末を高効率・高品質に抽出する前処理事業を行う。ブラックマスに含まれるニッケル、コバルト、リチウムなどのレアメタルを再生資源として新品の電池の原料へ循環させるサプライチェーン構築を目指す。
今後、車載用バッテリー換算で4万台分以上に相当する、年間最大1万3,500トンのスクラップ処理能力を有する工場を建設予定で、2026年中の稼働を見込む。合弁事業の初期段階においては、トヨタ自動車向けの電気自動車(EV)用バッテリーの製造工程で発生するスクラップをLGESがGMBIに供給する。リサイクルされたバッテリー材料は、トヨタ自動車向けのEV用バッテリーの材料として再利用される予定だ(コリア・エコノミック・デイリー6月19日)。
米国南東部ではEV関連投資が相次ぎ、リチウムイオンバッテリーのリサイクルを含むサプライチェーンが構築されつつある(2023年9月27日付地域・分析レポート参照)。ノースカロライナ州では、トヨタ自動車が総額139億ドルを投じたEV用バッテリー工場が、2025年4月から出荷を開始したほか(2025年2月7日記事参照)、大日本印刷、冨士発條と豊田通商の合弁会社、豊田通商グループのグリーンメタルズなどによるEV関連投資も発表されている(2024年6月17日記事参照)。
なお、海外子女教育振興財団によると、州都ローリーにある日本語補習学校では、生徒数が2023~2024年に192人から262人と36.5%増加していることから、EV関連投資の増加に伴い同州における日本人居住者も著しく増えているとみられる。
(注)リチウムイオン電池を製造する世界有数の電池メーカーで、車載用電池の製造に強みを持っている。北米では、現在建設中の工場を含めて8工場を保有しており、同社最大の生産拠点として、製造工程スクラップのリサイクルと再利用によるクローズドループの確立も進めている。なお、北米トヨタとリチウムイオンバッテリーモジュール供給契約を2023年に締結しており、LGESはミシガン州にトヨタ専用のバッテリーセルとモジュールの生産ラインを設立してリチウムバッテリーを供給する予定だ(2023年10月5日記事参照)。
(檀野浩規)
(米国、日本、韓国)
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