5月の米消費者物価指数、伸びは前月とほぼ変わらず、関税引き上げの影響は依然限定的

(米国)

ニューヨーク発

2025年06月12日

米国労働省が6月11日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.4%(前月比0.1ポイント上昇)となった。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同2.8%上昇で、前月と同率を維持した(添付資料図1、表参照)。コア指数を年率でみた場合、前月比、3カ月前比、6カ月前比がそれぞれ、1.6%上昇(前月2.9%上昇)、1.7%上昇(同2.1%上昇)、2.6%上昇(同3.0%上昇)だった。いずれも市場予想を下回る伸びだった。

前年同月比でみると、ガソリン価格の低下などに伴い、エネルギーは3.5%下落、外食も含めた食料品は2.9%上昇(前月2.8%上昇)だった。コア指数では、財部門は0.3%上昇(前月0.1%上昇)と、伸びがやや加速する一方、サービス部門は3.6%上昇と、前月と同程度の伸び率だった(添付資料表、添付資料図2参照)。

前月比でみると、コア指数では、財部門が0.0%上昇(前月0.1%上昇)、サービス部門は0.2%上昇(前月0.3%上昇)だった。財部門では、コンピュータ(1.1%上昇)、玩具(1.3%上昇)、家電(0.8%上昇)など、前月から引き続き輸入依存度の高い品目で上昇は見られるものの、現時点では物価全体の動向に有意な変化をもたらすには至っていない。もっとも、地区連銀などの調査(2025年6月5日記事2025年6月6日記事参照)では、今後数カ月の間に幅広い品目で急速に関税コストの転嫁が進む可能性が指摘されており、警戒が引き続き必要だ。

今回の結果を受けて、ドナルド・トランプ大統領は連邦準備制度理事会(FRB)に1ポイントの利下げを求めている外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが、ウェルズ・ファーゴのマイク・プグリーゼ・シニアエコノミストが「FRBにとって最も重要な点は、判断するには時期尚早ということだ。過去数カ月で多くの出来事があったことを考えると、FRBが1カ月分の報告に過度に重きを置くとは考えていない」と述べているように(ブルームバーグ6月11日)、ほとんどの市場関係者は、今回の結果によって短期的なFRBの判断に変更があるとはみていない。

(加藤翔一)

(米国)

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