米商務省、東南アジア4カ国製の太陽電池にAD・CVDの賦課命令

(米国、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナム)

ニューヨーク発

2025年06月25日

米国商務省は6月24日、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムの東南アジア4カ国製の結晶シリコン太陽電池に対し、アンチダンピング関税(AD)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます補助金相殺関税(CVD)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを賦課する命令を官報で公示した。

AD・CVDは、WTO協定で認められた貿易救済措置の一種だ。ADは、輸出国の国内価格よりも低い価格による輸出(ダンピング輸出)が輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、その価格差を相殺する目的で賦課される。CVDは、政府補助金を受けて生産などされた貨物の輸出が輸入国の国内産業に損害を与えている場合に、当該補助金の効果を相殺する目的で賦課される。

米国政府は2024年4月以降、東南アジア4カ国製の太陽電池に対するAD・CVDの発動要否を判断する事実確認調査を開始した(2024年5月22日記事参照)。調査の結果、商務省国際貿易局(ITA)は2025年4月にダンピングや政府補助金の存在を認定し、税率を最終決定した(2025年4月23日記事参照)。また、国際貿易委員会(USITC)は2025年5月に米国産業の損害認定を最終決定した(2025年5月21日記事参照)。これらの決定を踏まえ、商務省は今回公示した官報を通じて、米国税関・国境警備局(CBP)に対し、AD・CVDの徴収の開始を指示した。

今回、官報で発表した4カ国製の太陽電池に対するAD・CVDの一般税率は次のとおり。ITAの最終発表から税率に一部変更を加えた。このほか、4カ国の特定企業の製品に対しては、個別に税率を設定している。

  • カンボジア: AD125.37%、CVD534.67%
  • マレーシア: AD8.59%、CVD34.09%
  • タイ: AD111.45%、CVD255.39%
  • ベトナム: AD271.28%、CVD124.57%

AD・CVDの対象となる4カ国製の太陽電池は、米国関税分類番号(HTSコード)で次のとおり。

  • 8501.71.0000、8501.72.1000、8501.72.2000、8501.72.3000、8501.72.9000、 8501.80.1000、8501.80.2000、8501.80.3000、8501.80.9000、8507.20.8010、 8507.20.8031、8507.20.8041、8507.20.8061、8507.20.8091。

(葛西泰介)

(米国、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナム)

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